ストロベリーホーム 2

サメのおかげ ページ29

海に浮かぶ俺たちの上でスイカ柄のビーチボールが飛ぶ


「チャニョル！」

「ほいっ」

「下手くそー！」

『あははっ』


あんな気にしてた水着も今では多少気にしなくなった
Aちゃんの水着姿を見て目を輝かせたチャニョルにはたっぷり海の中でプロレス技をかけてやったけど。


「ヌナ〜浮き輪あげる」

『あぁうん』


浮き輪を貰ったAちゃんはぷかぷか浮くと足をバタつかせてるのか皆んなから少し離れて行く
その姿を追いかけ浮き輪を押すと突然上がったスピードにAちゃんが振り向いた


『ビックリした〜』

「沖まで行ってみよ」

『大丈夫、かな』

「大丈夫」


浮き輪を掴んで海中で水を蹴る
人が少なくなりもうすぐ海水浴範囲内との境目に着こうとした時Aちゃんが不安げに振り返った


『ミンソク君、もうここで…』

「まだ行けるよ？」

『…こわい』


少しだけ進んだ瞬間、水が跳ねAちゃんの腕が首に回ると焦って体を支える。
2人の間で浮き輪がググッと音を鳴らす


「ごめんっ、大丈夫？」

『…来そう』

「え？」

『サメとか来そうで…』

「…ぷっあははっ！」

『わ、笑わないでよ』

「ないないない」

『分からないでしょ！海なんだから』


少し意地悪をしたくなって沖に近づけば、無理無理そう言ってさらにキツく抱きしめられ固まる
うん、俺もこれ以上無理だ


「…戻ろうか」

『うん、あの…ミンソク君』

「ん？」

『しばらくこのままでもいい？』

「…」

『まだ、ちょっと恐いから…』

「うん」

『…笑ってる？』

「いや、」


ちょっと嬉しくて笑っただけ




「あーヒョン達どこ行ってたんだよ」

「ちょっと沖まで」


ヨンジヌナからタオルを貰い濡れた体を拭く
Aちゃんも拭き終わるとパーカーを羽織り短パンを履いた


「ヒョン〜はい焼きそば」

「サンキュー。好きだな焼きそば」

「チャニョルがね〜」

「だって美味いじゃん」

『あたしちょっとお手洗い行ってくる』

「あっあたしも行くー！」


立ち上がった2人を見送ると隣にいたチャニョルに腕を肘で突かれ焼きそばを口に運ぶ手を止める


「Aヌナと2人きりで楽しかった？」

「…その顔やめろ」

「ヌナの水着姿独り占めしてさぁ」

「…」

「ジュリが言うように出てるとこ

「チャニョル、またプロレス技かけられたいの？」

「あー焼きそば食べよー」

「ちょ、チャニョル！それ僕の！」

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