ストロベリーホーム 2

寝れない夜 ページ13

プープープーと一定のリズムが耳に入ってきてそのまま固まる
…切られた。誰に？Aちゃんに？
いや違う。男がいた。

”喋る時間なくなるから戻って来てよ”

耳にこびり付いた男の声に苛立って持っていた携帯をベッドに投げつけた


「あーっ！本当にっ！！」

「…どうしたのミンソク」

「…」


ビニール袋を下げ外から帰ってきたばかりのルーハンが俺を見て大きく開いた瞳を瞬かせる
そんなルーハンをよそにそのまま窓際の椅子に座ると意識的な大きいため息を吐いて腰掛けた


「最悪だ」

「なにが」

「Aちゃんが男とご飯行ってる」

「まじ？」

「しかも切られた。多分一緒にいた男に」

「うわ」

「ルーハン」

「なに」

「俺今から帰っていい？」

「いや、ダメっしょ」


袋を漁るルーハンはアイスを取り出すと一袋を俺に渡し向かいの椅子に腰掛けアイスの袋を開けた


「…買い食い禁止」

「みんなに見つかんなきゃいんだって〜それに俺、大人だし」

「ったく」

「じゃあミンソクいらないの？」

「いる」


袋を開けて棒アイスにかぶりつく。サイダー味だ。
ルーハンはマンゴーアイスらしい


「なんでご飯のこと知ってんの？」

「チャニョルが電話してきた」

「あーあいつ言ってきそう」

「帰りはチャニョルが迎えに行くって」

「ならまだ安心じゃん？」

「はぁ…」


今なにしてるのかが気になって仕方ない
あの受話器越しに聞こえた男と笑ってるんだろうか
ポタリと溶けたアイスが服に落ちる


「ミンソク溶けてる」

「あぁ…」

「それ食べたら風呂入って寝ろよ」

「寝れないって」

「その羊握りしめたら寝れるんじゃない？」


ルーハンが指差した鞄に付いてる羊を手に取り綿の入ってるお腹をグッと押す
顔を押して頭を押して足も手も押して不細工がさらに不細工になる

早く終われ〜！近づくな〜！


「唇突き出しすぎだから」

「ちょっと走ってくる」

「今から！？」

「ジッとしてられない」


最後のアイスを口に入れてパーカを羽織る
もちろんチャニョルから電話があるかもしれないから携帯も


「あんま遅くなんないでよ〜寝てる時に帰ってこられんの嫌だからさ〜」

「分かってる、じゃあ」

「気をつけて」


部屋を出て携帯から音楽を選んでイヤホンをする
ボリュームを上げてストレッチを軽くすると強く地面を蹴った

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