すのーどろっぷ (ページ44)

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髪を巻いてると電話が鳴った
スピーカーにして、手は止めない

『もしもし、A先輩』
「うん～もしもし」

『いま、家？』
「うん。そうだけど」

・・あ、ちょっときつく巻きすぎたかな

「どうしたの？ギョンス」
『今日暇だったら飲み行かない？』

……

『僕がすごいビール飲みたくてさ。』

………

『どう？付き合ってくれない？』

コテ機の電源をオフにして机に置いた

「ごめん。今日は無理」
『え？』

手櫛で髪を整えるといい感じに女子大生になった

『今日なにかあるの？用事』
「うん」

……よし、かわいい
きっとそこそこかわいいはずだ

「合コン行くの」
『合コン…？』

予想通りのギョンスの声色

『合コン、行くって言った？』

椅子を立って散らかった部屋の片づけを始める

「ユイに誘われたの。何か前からやろうやろう言っててやれてなかったんだって。」
『…ユイさんが行く合コンって、チャラいやつばっかりって、前にA先輩言ってなかったっけ？』
「そうだっけ？」

そうだった。
……でも、

「長い長い無謀な片想いはもう終わったんだし。」

冷めたコテ機のコードを抜いてカゴにしまう

「男は星の数ほどいるんだからね～。」
『…A先輩、先輩のことは、』
「もう忘れた。」

“先輩”なんて、忘れた

「もう忘れたよ。失恋には新しい恋って言うでしょ」

鏡に映った自分と目が合った
…かわいい、はずだ。
大丈夫な、はず。

「じゃあね、もう行くから。切るよ～」

歯切れの悪い返事を聞くや否や通話を切った

なんで今日このタイミングでビールが飲みたくなるのよ
飲みたくなったらわたしじゃなくて彼女を誘ってよ

ギョンスと会ったら、辛気臭くなるから
合コンで良かった…今日

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