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序章 ページ1

 
 
 
 
 
───────バンッバンッ!!





室内に木霊したのは2発の銃弾の音だった。





目の前に立つオールバックの男は血を噴き出しながら





覆い被さる様に私の腹部へ倒れ込んできた。





男の身体からする硫黄の匂いと鉄臭い血の匂い





その悪臭が鼻を通り、変わって吐き気が混み上がってくる。





「 ────チッ、いちいち手間かけさせやがって 」





銃口から浮かび上がっている白煙を吹き、私の事を見ては舌打ちをする男が1人、目の前に立ち尽くしていた。





「 ほんっとにテメェは使いもんにならねぇ女だなぁ"! 」





「 ………ッい"! 」





私の元に近寄る男に尻餅を付いたまま後退するも





勢いよく前髪を掴まれ、顔を強制的に上げさせられる。





腹部に覆い被さっている男の出血によって





私が座っている地面は、血の海と化していた。





「 おい"、勝手に逃げてんじゃねぇよ。


 誰のおかげでよォ、テメェはいま生きてっと思ってんだ? 」





顔を極限にまで近寄せられる。





私の目の前にある男の顔





整った顔筋に綺麗な顔面、微かに血の香りと香水の匂いが私の鼻腔を擽った





「 ………ッ、先輩……のおかげ、です 」





視線を逸らし苦い表情をしながら彼の質問に答える。





すると突然、掴まれていた髪ごと地面に叩き付けられ





ようやく彼の拘束から解放された。





「 あぁ、そうだ。俺のおかげでテメェは


 首領からの"クビ宣告"を受けずに済んでんだよ 」





地面に叩きつかれた私の顔横には、高級そうな革靴が勢いよく置かれ





銃口を向けられながら彼は私に笑みを浮かべた。





「 おら"有難う御座います"はどうしたァ?


 テメェみてぇなノロマな奴をこんなにも優しくしてくれる先輩は


 俺以外どこ探しても居ねぇぞ?……心から感謝しやがれ" 」





彼のサラサラな桃色の髪、口端に付いた傷痕





その容貌を見る度に私は、どうやってこの上司をころそうか





復讐心が募るばかりで行動に示せず月日が段々と経っていた





「 …ッ有難う、御座います……ッ" 」





今は彼に従うしかない。





憎たらしい彼の顔に向ける表情は感謝の意なんてものは無く、





憎悪と悔しさに満ちた表情を彼に向けていたのであった。

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作者名:梵天@ | 作成日時:2021年12月24日 23時

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