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淡くて切ない。 ページ2

「あら、ミミちゃん。今日もイノシシを取ったの?いつもすごいわね。」
夕日の差し込む村の門をくぐると、洗濯帰りのおばさまたちが口々に褒めてくる。
ミミはそっと笑ったが、目では別の人を探していた。

チョン・グク。
ミミのいるチョン族の族長でミミと同い年の彼は、独り身のミミを何かと構ってくれ、
そして今ではミミはグクのことが気になって仕方がなかった。
いつもなら村の真ん中で立派な家具やらを作っているのだが、今日は彼どころか他の男連中
も見当たらなかった。


「おばちゃん、グクはどこ?これ、一人で解体できないんだけど、」
おばちゃんはミミのそんな思いには全く気付かず、屈託なく言った。
「ああ、中央から馴染みの商人さんが来ててね、みんなそこで呑んでるよ。
そうだ、ミミちゃんがいってお酌してきなよ、若い別嬪さん来たら皆喜ぶよ。」
呑み会は気が進まなかったが、グクを一目でも見られるのならと、ミミは抱えていたイノシシを下すと、羽織っていた毛皮のマントもおばさま方に託し、集会場に向かった。


案の定、大人たちは出来上がっていたが、ミミは大人たちの絡みを軽くいなしながら、グクを
探す。奥の柱の向こうでホソクたちと談笑するグクを見つけ、近寄ろうとした時だった。
「お嬢ちゃーん。こっち来てよう。」
酔っぱらったおっさんに腕を引っ張られる。自分にかかる酒臭い息にミミは顔をしかめた。
「やめて、ちょっと離してよ。」
しかし酔っ払いに言葉は通じず、より顔が近づいてくる。
ミミは嫌悪感に顔を歪め、そっと右のこぶしを固めた。

下からのアッパーか、右ストレート。騒ぎは避けられないだろうが、仕方ない。

その時、
「ちょっと、おっさん。ミミが嫌がってるからやめろって。」
突然ミミの視界を塞いでいたおっさんが地面から持ち上げられた。
「グク!」

ミミは喜びで思わず声を上げたが、しかしそれは締め上げられたおっさんのうめき声にかきけされた。
「グク、もういいから。私大丈夫だし、このままだと死んじゃうって。」

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AULA−輝き(プロフ) - ユンギさんとテテ…。まあ友達ではありますね。いい人が見つかるといいな… (2019年4月4日 16時) (レス) id: a376a7214f (このIDを非表示/違反報告)
闇子(プロフ) - ユンギさんとテテはどうなりますか?ユンギペンなもので、気になります。 (2019年4月4日 16時) (レス) id: a376a7214f (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 面白いので、ぜひ完結してください。 (2019年4月4日 16時) (レス) id: a376a7214f (このIDを非表示/違反報告)
茜★(プロフ) - 更新待ってます!ファンタジー風だけど、すごく人物描写がいいです。 (2019年4月4日 15時) (レス) id: a376a7214f (このIDを非表示/違反報告)
りんご姫(プロフ) - 前作の得体の知れない少女と不良たちから飛んできました!素敵な作品です。 (2019年4月4日 15時) (レス) id: a376a7214f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AULA −輝き | 作成日時:2019年3月6日 13時

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