恋と嘘。【東京喰種 :re】 (ページ1)

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これまで私は何度人を殺したのだろうか。

ちょうど16歳の誕生日だった。
あれは何かの間違いだった。

電車を待つホームで私が躓いた。
そのまま私の体は前に立っていた小さな子供を押す形になった。
その日は早朝、朝5時に早起きをして某テーマパークに友達と誕生日を祝いに行く予定だったため、周りに人の姿は全く無く、監視カメラからも遠く離れた状況だった。

前の小さな子供は抵抗することも出来ず、そのままホームへと堕ちていく。
助けて、そんな声は耳に届かなかった。
それから3分ほど経って電車がホームへと入ってきた。
その時の子供の断末魔の叫び。

美しいと感じた。

私は何事も無かったように電車に乗り込む。
偶然か必然か。電車は人を轢いた事に気付かない。
その日のテーマパークはいつもよりももっと夢の国の様に見えた。
早朝の美しいあの叫び。
私を狂わせたのは、私を壊したのはあの叫び。

私は狂いながら夢の国を駆け回り、16歳の誕生日を祝う。

政府通知で今日で恋人と引き裂かれる。
そう思って恋人とも最期だと思ってよく笑ってよく話して…。

朝の事はまるで日常の様に私の中に溶け込み、16歳の誕生日を満喫した。

深夜1時頃に寝静まった部屋に戻った。

私の机にある政府通知をひったくるようにして開ける。

紙を出すと、そこに書かれていたのは

鈴屋什造 CCG 3等捜査官 19歳

と書かれた上に少女のように美しい人の写真があった。
CCG、と書かれているのを見て私は少しほっとする。この人も人では無いかもしれないが、私と同じ罪を犯しているのだと感じたからだ。

くすりと私は独りで嗤う。
もう理解者がいるじゃないか。
いくら私が罪を犯したとしても、このお婿さんが分かってくれるじゃないか。

そう考えるともうおかしくなってきた。

「あっはははははっ、ははははははっ、うっ、ふふふっ」

私は静かな部屋の中で一人で爆笑する。もうほんと面白くてたまんない。

「A？帰ってきたの？何を笑ってるのよ？楽しかった？」

キッチンで何かをしていたのか、包丁を持ったまま私の部屋に入ってきた母。
それを見ると今日のことが蘇ってくる。
あの美しい叫びが頭の中で反響して、もう一度聞きたいと願ってしまう。

「楽しかったよ」

私は目を見開いて母から包丁を奪い取り、母の腹を刺す。
お陰で私は返り血を浴びまくる。

美しい絶叫が耳を貫いた。

そのあとのことは覚えていない。
父を殺して、警察が来た時には喰種にやられたと言ったようだった。

目が覚めた時は白いベットに横たわっていた。