さとしのこと（気象系病系） (ページ48)

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ベッドから落ちる智ページ48

ﾊﾟﾗｯ

ニノ「ん？」

本の間から何かが落ちた。

拾い上げたものは、メモ用紙。

そこに描かれていたのは、
この漫画に出てくる筋肉ムキムキな巨大男のキャラクター。

その隣の吹き出しには、

{いつも助かってるわよおニノ～♡)

の文字。

どう見ても智には見えないそのキャラクターと、
ギャップしかないセリフに思わずﾌﾞｯと吹き出す。

ニノ「ﾝﾌﾌｯ」

おかしくてニヤニヤが止まらない。

ニノ「こんなのいつ描いてたのよ？」

漫画を置き、メモ用紙を大事に持って部屋に戻る。

引き出しの一番上を開けると、
智に出会った日からつけ始めた日記が顔を出す。

その日記を開き、糊で智のメモ用紙を貼り付けた。

午後。

翔のところにやってきたニノ。

翔「ん、ニノ･･･？」

明らかに寝起きの翔。

ニノ「おはよ～」

翔「･･･おはよ･･･。智くんは？」

ニノ「寝てるよ。」

翔「熱、下がったの？」

ニノ「まだ少しあるかなぁ～、なのにあの人さぁ、
絵描きたいなんて言い出しちゃって。参ったよぉ」

笑いながら話すと、

翔も笑う。

翔「智くんおもしろいなぁ～」

ニノ「変な人だよねぇ～」

ひとしきり智の話で盛り上がるが、
メモ用紙のことは秘密にしたくなった。

ニノ「翔ちゃんも今度一緒に絵描かない？」

翔「絵かぁ～いいよっ！」

ニノがニコッと笑うと、可愛い笑顔になる翔。

それに満足して、自分の部屋へ昼食を食べに戻る。

ｶﾗｶﾗ

智の様子を見に来たニノ。

室内には、緊急事態を知らせる機械の音が響いている。

ニノ「えっ？！」

目の前には、目を見張る光景があった。

倒れている点滴。

床に転がって大きく肩で呼吸している智の背中。

ニノ「智！！！」

駆け寄り、咄嗟に智の体を起こす。

智「ｯﾝｳ！」

苦しそうに眉をしかめる智。

ニノ「どうしたのっ」

智「ｯﾊｧﾊｧｺﾞﾎｯ･･･ｲｯﾀ･･･ｲ」

力なくニノの腕にしがみつき、
もう片方の手で苦しげに胸を押さえ咳き込む。

智「ﾊｧｯｺﾞﾎｯ･･･ｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯﾊｧｯﾊｧｯ」

空いている方の手で懸命に智の背中をさするが
なんの意味も無さそうに思え、
なんとも言えない無力感に襲われる。