125【愛】 ページ26
香りと記憶は結びついているなんて言うけど、俺の場合それが"音"だったんだ。
いきなりの物凄い轟音、恐怖を感じたざわざわとした声。
父さんが俺を呼んだ声。
あの車の運転手は酒を飲んでいたと書類に書いてある。
だから別に俺が黄色なのに渡った所為じゃない。
なんて、そんなの通じるわけが無いだろ。俺が確認してれば気付いていたかもしれない。
俺の、俺の所為だ…。
次に信号が青に変わった時、俺は駆け出した。この、嫌な記憶をまた振り払うように。
でも忘れられる訳がない。
家までその記憶を持って帰って、インターホンを鳴らした。そして直ぐに出てきた阿部ちゃんに、まるで罪を告白するかの如く言った。
佐「全部…俺の所為だった」
阿「………一旦家に入ろう。」
阿部ちゃんは自己嫌悪で染まる俺の肩を支えてくれて、ソファに座らせてブランケットまで掛けてくれた。
阿「もしかして、思い出したの？」
佐「思い出した…。全部俺が悪いんだ…。」
阿「どうして？」
佐「父さんは俺のせいで死んだ。」
阿「え…」
俺は阿部ちゃんに事故のことを話した。
話すことに抵抗はなかった。今思い出したばかりの自分の大罪を吐き出したかったから。
佐「だから、父さんは俺を捨てた訳じゃ無かったんだ。
俺が事故のこと覚えてないから、
思い出させないように自分から関係を絶とうと…。」
あの時、出て行ったと思っていた父さんにかかってきた電話はきっと…病院。
佐「何が、『捨てられた』だよｯ！俺が全部悪いのに」
"とっても息子思いの人だった"
"その子のために一生懸命働いてた。大介君のこと好きだったのよね、何よりも。"
正真正銘、俺は愛されていたんだ。
佐「ねえ、父さんが死んだのって2017年の10月なんだって…。
あの特番の後だよ…。
俺がもう少し早く思い出してれば、父さんに会えたのに。」
こんなの…後から知りたく無かった。
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shi★mo(プロフ) - 古鷹さん» ありがとうございます！素敵なお話だなんて嬉しいです！ゆっくりですがアフターストーリー書き進めてますので楽しみにしていてください！ (2020年9月27日 3時) (
レス) id: 617f873a8e (このIDを非表示/違反報告)
古鷹(プロフ) - shi★moさま 完結おめでとう御座います。あべさく大好きな私はこの重くて素敵なお話をゆっくり噛み締めながら大切に読ませて頂きました。アフターストーリー、健くんとのお話も楽しみにしています！ (2020年9月19日 13時) (レス) id: ea12c80722 (このIDを非表示/違反報告)
shi★mo(プロフ) - とむさん» こちらこそありがとうございました！感動して頂けて幸いです！長い間本当にありがとうございました！ (2020年7月5日 23時) (レス) id: 617f873a8e (このIDを非表示/違反報告)
とむ - 凄い感動しました！ありがとう御座いました。そして完結おめでとう御座います。 (2020年7月2日 17時) (レス) id: 641e996ae4 (このIDを非表示/違反報告)
shi★mo(プロフ) - ロリポップココアさん» ありがとうございます！私の作品で感動して頂けるなんて本当に嬉しいです。アフターストーリーの方も、投稿したら是非読んで下さい。 (2020年6月11日 23時) (レス) id: 617f873a8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜 | 作成日時：2020年5月30日 13時
