142向井side ページ20
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向「もやし…もやし…？大丈夫か？」
殺し屋たるもの、睡眠中ですら気を抜いてはならない。そう教わってきた。
でも、その日はとても疲れていたんだ。俺ももやしも。そこを襲われた。同室の奴らに。
いつもなら躊躇する筈の拳。なのに今日だけはなんの迷いも無く振り下ろした。俺は、Bランクやった。それは殺しの能力があったから。そんな俺が負ける訳が無く、奴らはあっという間に意識を飛ばした。
グッタリとしているもやしを抱き上げて、声をかける。
「俺なら、大丈夫や…。こーちゃん、聞いて」
向「お前、そんな血流して…。あかん、もう無理や、逃げよう。誰かに助けを求めて治療して貰おう」
「聞けってｯ！お前馬鹿や無いから分かるよな。俺はもう駄目や。あいつらほんまに俺を殺すつもりやった。
ええか？康二だけで逃げろ。逃げて、逃げて、誰かに"見つけて"貰うんや」
もやしの頭からは血が流れていた。これでもかというぐらい。
そうや、分かっとる。医療設備の整ってないここで、そんな傷負ったらもう終わり。そしてこんな俺らなんて誰も助けてはくれないことも。
けどな。お前は敵やないねん。味方で、なんなら友達、なんかも知れん。そんなんで諦めろなんて…
向「いやや…。嫌やよ、もやし。お前がおらんくなったら、俺はどうすればええの？
もやしに教えて貰わんとおれなんもできん…。ひとりにせんで…お願いや…さびしいよ、もやし。」
「なあ、こーちゃん。泣かんといてや。俺やてこんな惨めな死に方したく無かった。こーちゃんともっとｯ…もっと…色んな…こと、して…おとな、に…」
ポタン。
頬を伝った水が床に落ちた。
向「もやし？おい。…死ぬな！なあ！目え覚まして！ねえ、もやし！ねえってば！
…置いて行かないでｯ」
あまりにも。
あまりにも呆気ない最後だった。
もやしの身体はみるみる冷たくなって、硬く閉じられた瞳は、もう開くことは無かった。
俺らが協力したのと同じように、アイツらも協力したのや。なんて皮肉やろうか。俺らはちゃんと頭を使っているから、とたかを括っていた。アイツらだってそこまで馬鹿ではないのに。ほんの少し、気を緩めていただけやったのに。死ぬのは俺でも良かったのに。
気がついたときには、まだ、生きていたのに。
＿＿＿もやしを殺したのは、俺や。
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わーぉ(プロフ) - すごく面白くて続きが気になります！最後はどんな結末になるのか… (2021年11月9日 0時) (
レス) @page37 id: 88cbea371f (このIDを非表示/違反報告)
霜(プロフ) - オレンジさん» ありがとうございます！そろそろ終幕なので、楽しみに読んで頂ければ幸いです。 (2021年10月15日 11時) (レス) id: 617f873a8e (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ - 話の続きが気になります。ふっかは黒幕なのかな？メンバー皆んなどうなちゃうんだろう？ (2021年9月11日 4時) (レス) id: 498347d06e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜 | 作成日時：2021年6月24日 23時
