寂滅の天使は夜に笑う3 (ページ7)

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88阿部side ページ7

何も出来ない俺の体はされるがままに露わになった。

カシャっとシャッター音が聞こえた所で首を締めていた手が外された。

阿「ｹﾞﾎｯ…はあはあ…はあ」

急に入ってくる空気に身体が痺れる。それでも酸素を求めている俺の脳は忙しく呼吸をさせる。

くるしい

きもちわるい

いたい

こわい

むなしい

つらい

このまま死にたい

身体を起こす労力も余ってなく、汚い土の上でそのまま目を閉じる。

これからどうなってしまうんだろう。

もう、目を覚さなきゃ良いのに。

そんな願い虚しく、再び目を覚ますと身体中を痛みが襲う。

辺りは暗くなっていて数時間が経ったのか、と思ったが確認するとどうやら丸一日は眠っていたようだった。

…誰も、助けてくれなかったんだ。

重たい身体を引きずって何とか家に帰ろうとする。が、全然進まずに断念した。

何処かで野宿でもしようと決心し、親への連絡のためスマホをつけると夥しい量の着信とメールが来ていた。

阿「え…」

俺の目に止まったのはその中の一文、「柊(しゅう)が酷い怪我を負わされて病院にいる」だった。柊は俺の三つ下の弟。怪我を"負わされた"？

事件にでも巻き込まれたのか？元々虚弱体質なのに、大丈夫だろうか。

それを見て俺の足は直ぐに病院へと向かった。不思議なもんで、さっきは殆ど動けなかったのに今は痛みなんて気にならなかった。