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90阿部side ページ9

阿「柊?」



少しして柊の手がピクッと動き、目を覚ました。

キョロキョロと辺りを見渡す柊に声をかける。



阿「分かるかな?兄ちゃんだよ。柊。」


柊「兄貴…。」


阿「そうだよ」


柊「ここは?」


阿「病院だよ。どこか痛い所ない?一度先生呼ぼうか。」


柊「待って!!」



ボーッとしていた柊の目が俺を捕らえた途端、急に身体を起こして止められた。



阿「どうしたの?」


柊「話、したい」


阿「話…?」



そんなの聞かなくても分かってた。でも聞かずにはいられなかったんだ。



柊「いじめ、受けてるでしょ…?」


阿「どうして。」


柊「今日俺が暴行されたのは知ってる?」


阿「知ってる。」


柊「その犯人て兄貴の事いじめてる奴らだった。」


阿「は…」



なんだよそれ。あいつら弟まで手を出すなんて。



阿「ふざけんなよ、なんで!」


柊「最後まで聞いて、俺は大丈夫だから。

兄貴が今日学校に来なかったからその罰として俺を暴行してやろうって思ったんだって。
で、そこまでしてくるあいつらは尋常じゃない。兄貴のその怪我だってあいつらの所為でしょ?

すぐに転校しよう。頑張って入った高校だけどもう兄貴が苦しむのは嫌だよ。父さんも母さんも分かってくれるよ」


阿「柊…それはダメだよ。」


柊「なんで!兄貴だってあんな奴らにいじめられるの嫌だろ⁈」


阿「そうだけど…」


柊「分かった。ゆっくり考えて。でも後から後悔するのだけはやめて」


阿「うん。取り敢えず先生呼ぶね」



俺は真っ直ぐに正しい意見を言ってくれる柊から逃れるように先生を呼んだ。

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作者名: | 作成日時:2020年9月21日 18時

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