リスタート【XM】 (ページ4)

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「ほら、お水飲んで」

買っててくれたんだろうな、ジョンデから貰った水を飲むとボヤボヤしてた頭がすーっと楽になる。

『ジョンデ、ごめんね。』

「んー俺はごめんね、よりありがとうの方が聞きたいんだけど？」

私の横に腰を下ろすジョンデ。

『…私、ずっと忘れられないのかな』

去年、いや一昨年、、もう何年も同じセリフをジョンデに聞く。

「うん、無理だと思うよきっと」

何年も同じセリフをジョンデも答える。

「イーシンヒョンに頼みなよ。
ヌナともヒョンともあってるのってイーシンヒョンだけでしょ」

まあ、たしかに。

今日もイーシンのSNSにお酒飲んでるミンソクが映ってるの見かけたし。

別れてから1回も会ってないけど、定期的にイーシンのSNSに現れるミンソクは私の心臓をギュッと苦しめる。

今日のミンソクは髪を少し明るく染めて、伸びた前髪を無造作に分けてた。

『……相変わらずかっこいいんだから、』

別れてから1回も会ってないのに、定期的にイーシンのSNSに現れるミンソクは今も私の心臓をきゅんっとときめかせる。

「重症だね、ヌナ」

呆れたようにジョンデは笑う。

『分かってるんだ』

ん？とジョンデは私の顔を覗き込む。

『ミンソクと会う手段がどれだけでもあること分かってるんだけど、合わせる顔がない』

『意味分かんない理由で振って、忘れられないから会いたい、なんて都合良すぎる話じゃない？』

「そうは思わないけどなぁ」

『それに怖いの』

「こわい？」

『私は別れてから今もずっとミンソクを引き摺ってるのに、ミンソクはそうじゃないって現実を知るのが』

「…ヌナ、」

『そんなこと当たり前なんだけどさ、9年も経ってるから。
新しい彼女だって、その彼女との未来だってあると思う』

『でも私にはまだ、ミンソクの今を受け止められる自信はない』

私と同じで"ミンソクも私を忘れられなくて今も想ってる"なんて甘い現実がないことを分かるのが怖い。

『思い出は、思い出のままが一番いいと思う』

「ヌナ、」

立ち上がったジョンデは私の顔を覗き込むようにしゃがみ込んだ。

「なんでずっとヒョンを忘れられないのか分かる？」

「そうやって、今から、現実から、ずっと逃げてるからだよ」

ジョンデの厳しい言葉、でも声のトーンは優しい。

「ずっとずっとヒョンと向き合わないから9年も離れられないんだよ、思い出から」