リスタート【XM】 (ページ28)

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「で、そのヌナに捧げてきたお前の時間は全て無駄だったって？」

なんて全て見透かしたような面持ちで俺の前にいるのは俺の事をよく知る友人、ギョンス。

ヒョンの試合を見に行ったヌナから"ジョンデありがとう。ミンソクから告白されました。また話聞いてね"なんて丁寧にツーショットまで送られてきた。

なんだよーそんな顔俺には見せたことないくせに、なんて携帯をふせた。

「…全然無駄なんかじゃなかったよ」

俺の大きな片想いは実らなかったけど、ヌナとすごした時間は幸せだった。

ヌナを笑顔にしたい、とか言いながら結局は自分の欲を満たしてただけだったし。

「ジョンデらしいな」

「俺はヌナ一色だったから」

「うん。くどすぎるくらいに。」

ギョンスは笑う。

「これからもきっとそうだと思うんだ。
ヌナがヒョンしか見えてなかったように、俺もそうだから。」

「別れもあれば出会いもあると思うけど？
それにジョンデなら言い寄ってくる子いるでしょ」

「…ヌナだから、きっと何年も好きでいれた。
それが叶わない結果だと分かってても。」

「そうやって言うと思った。ジョンデはヌナバカだから。

まあ、その"ヌナ"には会ったこともないけど」

「それに、ヒョンを想ってるヌナの事も結構好きなんだと思う。」

「ほんと昔から変わってるな」

でも俺も、そのヌナの為に頑張ってるジョンデ案外好きだったよ。人間味があって。」

「…なんだよそれ」

珍しいギョンスからの慰めに涙が出そうになる。

「別にいいんじゃない？

ヌナのこと好きでいても。」

「忘れなきゃいけないって法律で決まってるわけじゃないんだし」

「…忘れられないだろうなって思う」

「それくらい本気だった、ってことでしょ」

「うん…バカなくらい本気だったよ」

ほんと、バカなくらいヌナへの気持ちは真っ直ぐで、

方向転換なんかできなくて、

この数十年、本当ヌナだけだった。

ヌナは俺の原動力だった。

「ミンソクさんとは違うかもしれないけど、ヌナにとってジョンデも欠かせない存在だと思うよ」

「それだけでもいいやーってなんか思わない？」

うん…思うよ。

ヌナの中に"キムジョンデ"という存在が少しでもいるなら

ヌナの人生に"欠かせない"存在でいられるなら。

ねぇ、ヌナ。

ヌナへの気持ちを消すのに少し…いや一生の時間がかかると思うんだ。

でも…それくらい許してね。