リスタート【XM】 (ページ25)

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〇another story〇ページ25

"ちょっと～そこの学生くん！"

"どこにも入る気ないならウチのサークル入らない？"

よくよく考えたら、この時俺は貴方に恋に落ちたのかも知れない。

無難に選んだ大学だったし、特に大学生活に期待なんてしてなかったけど、

この瞬間から俺の人生は180度変わることになる。

"ジョンデってほんと感情ないよな"

"冷静なのか、冷酷なのかわっかんねーな"

面倒なことも、誰かのために自ら進んで何かをすることも、

ましてや人の恋愛に首を突っ込むことなんて考えられなかったのに、

誰か一人のために全く入る気のなかったサークルに入って、

誰か一人の笑顔が見たくて柄にも無いことして、

泣いてる顔を見たら側にいて慰めて、

側にいたくて同じ職場まで選んで、

今何してる？なんて言われたら夜中なのにも関わらずすっ飛んでいって、

無色だった俺の人生が、どんどん色付いていった。

ねぇ…ヌナ知ってた？

九年間、ヒョンのことを忘れられずに苦しんでたヌナだけど、

横で話を聞いてる男は、それ以上にもう何十年もヌナを思って側にいるって。

だけど、不思議と苦しくはなかったんだ。

ヌナを想ってる自分のこと嫌いじゃなかったから。

飲んで潰れるなら休みの前にしてね、って口うるさくいってたけど、

きっと…次の日仕事があろうと、大事な商談があろうと、俺はヌナを迎えに行ってたと思うよ。

ずっと忘れられないのかな、って何回も何十回も聞いてきたヌナに、毎回俺は無理だと思うって答えたよね。

だって、俺も無理だから。

ずっと、ずっと、好きだから。

初めから違う人を思ってるヌナのことをひたすら大好きだから。

忘れられなくて苦しんでるヌナに俺が初めて言ったキツイ言葉。

"なんでずっとヒョンを忘れられないのか分かる？"

"そうやって、今から、現実から、ずっと逃げてるからだよ"

"ずっとずっとヒョンと向き合わないから9年も離れられないんだよ、思い出から"

これ、俺に向けての言葉でもあるんだ。

十三年間も側にいて、ヌナに気持ちを伝えず向き合わなかった俺自身に対しての。