リスタート【XM】 (ページ2)

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『ミンソクの気持ちが全然分かんない。』

大学生活最後の冬休み。
来月で3年記念日を迎えるはずだったあの9年前の冬。

『別れよう…私たち。』

関係に終止符を打った。

「…ごめん。」

なんで？

理由は？

別れたくない。

好きだよ、A。

聞きたかった言葉たちは聞けなかった。

ミンソクの口から出た言葉は

"ごめん"
のたった三文字だけだった。

3年も過ごしてきたのに、呆気ない終わりだった。

『そーゆうとこだよ、ミンソク』

きっと見るのは最後であろうミンソクの姿なのに、涙で視界が歪む。

私の頬に一瞬触れたミンソクの右手はストンと落ちて、

「こうやって、Aの涙、もう拭えないんだな」

って切なそうに微笑んだミンソク。

引き止めて、

引き止めるなら今だよ、ミンソク＿＿＿＿

自分から振ったくせに、心の中でいっぱい願った。

「先行って」

『…え？』

「俺だって、しんどいんだ」

「だから、もう、行って」

ミンソクの頬に涙がひとつ流れ落ちた。

『ミンソ……「最後にだっさい姿見せたくないから」

なんて肩を押されて、出口の方に体の向きを変えられた。

「……行って。」

涙がばあっと溢れた。

私は1度もミンソクの方を振り返らずに立ち去った。

好きだった、

大好きだった、

不器用なミンソクが大好きでしかたなかった、

自分から別れるって言い出したくせに

別れてからずっと、ずっと、ずーっと

9年経った今でも、ミンソクか忘れられない。