#大嫌いです ページ13
ゆっくりと唇が離れていく。
時間もゆっくりと流れているような、そんな気がしてしまうほど僕の脳は思考を停止した。
ひと呼吸おき、行動に出たのは僕だった。
行動に出たというか、体が勝手に動いた。
1歩、2歩と後ろへ下がったのだ。
キスを拒めなかった自分が嫌になる。
それと同時に声をあげた。
貴方「主殿…なぜ、なぜ接吻などなされたのです」
少し怒鳴り気味で言ってしまったのは僕の気持ちが声に現れてしまったからなのだろう。
主「それは貴方が好きで好きで仕方ないからに決まってるじゃない」
にこっと口角をあげ、放つ言葉
『好き』
主から出たその言葉はとても心の底からのものとは思えない。
貴方「では、僕のどこが好きなのですか」
『見た目』
とか言われた日には僕あなたのこと大嫌いになりますよ。
少しの沈黙、外の風の流れる音が聞こえるほど静かになったこの部屋は真っ暗で何も見えない。
主「綺麗な顔立ちよ」
綺麗な顔立ち=見た目
貴方「それだけですか？」
顔が良ければ誰にでもベタベタするのですか？
顔が良ければ誰にでもキスをするのですか？
主「えぇそれだけ」
即答だった。
そうなのですね。
予想通りの言葉に思わず口元が緩む。
僕は昔から見かけだけで判断する人は嫌いなんです。大がつくほど。
なぜかは元の主が関係している。
貴方「貴方様もあの貴族らと同じこと言うんですね」
『あいつの遺体はどうだっていい!はやく、早くあの美しい刀を我の元へ!』
昔のその光景が頭に蘇ったのはきっと、
きっと、
あの日と同じまん丸の満月に照らされたこの部屋が何故だか血に染まっていてまさにあの光景にこの部屋が似ていたからだろう。
綺麗な光に照らされたこの部屋は色々物が散乱している。
ナイフだったり、縄だったり、血まみれの布だっり。
貴方「主。僕は貴方を愛していません。好くどころか
大嫌いですよ」
僕は僕の気持ちを主に伝えた。
またシンっと静まるこの部屋。
僕と主の呼吸だけが部屋に残る
少ししてギリッと歯を強く噛み締める音が耳に届いた。
____主からだ。
主「あらそう。」
今までと違うこの感じ。
一瞬でこの空気が変わった。
なんだ。何が起こる。
何かが起こるぞ。
僕は少し身構えた。
主「過去に何があったんだか知らんが、私の気持ちを否定するやつは許さない」
そう言った主はどこからか御札を出した。
気味の悪い柄が描いてある札。
嫌な予感しかしない。
終わり
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すずか - しろさん» 読んでくれてありがとうございます！亀更新ではありますがこれからもよろしくお願いします！ (2019年3月26日 7時) (
レス) id: d9e1742b9c (このIDを非表示/違反報告)
しろ - とてもいいですね！自分こういうの大好きなんです。更新頑張って下さい応援してます。 (2019年3月25日 18時) (レス) id: 50af05c841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Raimu | 作成日時：2019年3月18日 17時
