#兄でいたくない ページ11
あの方の姿をこの目で捉えた時にはもう僕の心臓はバクバクとうるさい音が鳴り響いていた。
貴方「あ…るじ…。」
そっと呟くようにして言ったその言葉。
そして勝手に動く僕の足。
主のいる館の方へ1歩足を踏み出していた。
この時代でこの方に関わってはダメだと重々承知しているはずなのに、オロオロと足は前へ進む。
元主「君、どうしたのだ」
近づいてくる僕を見て優しげに声をかけてくれる主様。
その言葉は僕の気持ちを落ち着かせるどころか、この足があなたの方へ向かう材料の一部にしかならない
貴方「主様、僕はあn
薬研「A兄!!!!」
ガシッと服を掴まれた
それによって足が止まる
僕よりはるかに小さなその手が僕を僅かではあるが正気に戻してくれた
足が主様から兄弟達の方へ向く
視線を上げてみれば皆の心配した表情
___ドクンッと僕の心臓が跳ねた。
僕のせいで皆にこんな顔させている、そう思ったら自分がみっともなくて兄でいたくなくなった
貴方「ご…めん…帰ろっか」
視線を外したまま発したその声は弱々しいと自分でも思うくらい震えていて小さな声だった
「うん」
誰かがそう言った
主「青年、どうなされたのだ。私に何か言いかけていただろう？」
元の時代に戻るための機械を手にした時、主様は僕を呼び止め、変わらない優しい声で話しかけてきた
さっき主様に放とうとしていたその言葉、それを聞いたらきっと貴方は混乱する
薬研に止めてもらえて良かった
ありがとうって言わなければならないが、兄弟達の顔が見れない
貴方「いいえ、すみません。なんでもありませんので気にしないでください」
僕って奴はどこまで阿呆なのだ
返事を聞かずして僕は機械をいじり、元の時代へと去っていった
『主様、僕は貴方に死んで欲しくなどないのです』
なんて口にしたら貴方は死なないでくれますか？
貴方「すまないね皆」
元の時代へ戻るなり放つこの言葉はこの場にいる弟達に確かに届いたらしく
骨喰「謝らないでくれA兄。俺もそういう時があった」
と骨喰が誰よりも早く口を開いてくれる
一期「Aのその気持ちも分からなくはないからね。気にしなくていいよ」
続いて一期が場の空気を変えるかのように優しく笑ってくれる
止めてくれ
その笑顔は僕にはもう向けないでくれ。
許さないでくれ。
こんな僕を兄と慕わないでくれ。
おかしくなる。
僕は君達の誇るような兄じゃない。
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すずか - しろさん» 読んでくれてありがとうございます！亀更新ではありますがこれからもよろしくお願いします！ (2019年3月26日 7時) (
レス) id: d9e1742b9c (このIDを非表示/違反報告)
しろ - とてもいいですね！自分こういうの大好きなんです。更新頑張って下さい応援してます。 (2019年3月25日 18時) (レス) id: 50af05c841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Raimu | 作成日時：2019年3月18日 17時
