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目を開けると
太陽が半分ほど
空に出てきていた
あの人は
『時計』の短い針が9を指したら
会いに来ると言っていた
今は5
6、7、8、9
あと4待たなくちゃいけない
仕方なくまた目を閉じてみるけど
あの人がどんな話をしてくれるのか気になって
すぐ目を開けてしまう
早く来ないかな
「おはよう、A」
やっとあの人が来た
9ぴったりに
まだAって呼ばれるのに違和感があった
でも、自分を呼んでくれるこの人は
自分を呼ぶ音を発する時
とても優しい声でとても優しい顔になる
「今日は大事な話があるんだ」
『大事』
それがどんな言葉なのかはわからないけど
きっと楽しい話じゃないのは
この人の顔を見ていればわかる
「君の名前はA
これはわかる?」
わからない
でも、いつもこの人がそう呼ぶから
きっとそうだ
だから首を縦にふる
「じゃあ次
Aは記憶喪失だ」
?
どういうことなのかわからない
「Aはこの部屋に来る前のことを
覚えているかい?」
わからない
だから首を横に振る
これもこの人が教えてくれた
「じゃあ少しAの過去の話をしよう
君は関西ジャニーズJr.です
ジャニーズ
わかる?」
わからない
首を横に振ると
この人は困ったように笑って
黒い板みたいなのに触れた
『スマホ』っていうらしい
それで昔の自分お見せてくれた
全然思い出せない
少し頭が痛い気がした
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作者名：朔也 | 作成日時：2017年7月3日 15時
