一歩～夢を諦めた君へ～ (ページ43)

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「ごめん

こんな時間まで俺の話に付き合わせて」

気がついたら、俺が大阪に帰って来てから

2時間半も経っていた

「『ごめん』じゃなくて

『ありがとう』やろ？

それに俺は迷惑やなんて思ってへんよ」

淳太くんはとことん優しくて

ええ相方持ったな

って今更のように思う

大事なもんは、失う前に気づかなあかん

失わんようにすんのが1番やけど

「ありがとう」

そう言い直すと

淳太くんはいつもどおりの王子様スマイルで

「おう

じゃあ帰ろか」

って

ほんまは踊って歌ってストレス発散させて

帰ろうかなってた思ったけど

淳太くんが話を聞いてくれたおかげで

スッキリして

時間も時間やから

俺らは稽古場を出た

「なぁ淳太くん

俺らにもアンチ、おんねやろな

デビューできるかな？

みんなで」

星なんか見えへん夜空で

月だけが輝いてるのを見て

なんか不安になって

口に出さずには入られへんかった

淳太くんなら俺を励ましてくれる言葉をくれる

って期待してたからかもしれへん

でも淳太くんは空を見上げながら

難しい顔をして

「どうやろね」

って

もう俺らも

ちゃんと将来を考えなあかん年齢やから

辞めていった先輩たちも多くおる中で

淳太くんもまた悩んでるんやろうな