辞める覚悟

#10 ページ10

またこの光景

また病院

今回はなに?

記憶戻ったん?


んー 戻ってへんみたいやな

「大丈夫?」

「頭は痛くない

でもだるいわ」

文一くんがずっと付き添ってくれたんかな？

「目、覚めた?!」

そんな声と共に視界が真っ暗になる

「照史くん?」

「もーめっちゃ心配したんやから」

目をウルウルさせながら
私をぎゅっと抱きしめる

私も抱きしめ返そうとするのに
点滴がついてる左手がうまく動かない

そういえば

「悠史は?」

そう聞くと驚いた顔をした

「悠史は今、おばさんとこにおんで」

「会いたいなぁ」

悠史は、唯一の別れた夫との繋がり

…ん?

夫?

え、私、いつ結婚したん?

まず人に恋愛感情もったことないのに

結婚とかできたん?


わからん

わからん



「やっぱごめん 照史くん
1人にさせて」

「わかった」

理由も聞かず
1人にしてくれた照史くんは
本当は私の過去も今の気持ちも
全部知ってるんじゃないかって思った


いつの間にか眠ってしまってて


見舞いにきてんけどー

今、1人になりたいみたいでー

ええやーん


なんて声で目が覚めた

ドア閉まってても聞こえるって
どんなデカい声で喋ってんのや

ここ病院やで?

ほんま誰やねん

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