好きこそ：krm ページ1
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東京23期 × 年下後輩
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your side
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やらかした。
どうしてこうも私はいつも上手くいかないんだろう。
手元で2つに割れたハート型を見てため息をつく。
今日は2月13日、お昼頃から準備を始めたはずなのに、もう既に日付が変わろうとしている。
やっぱり手作りなんて挑戦するんじゃなかったな、と自嘲しながら袋詰めをしていく。
大学を卒業してからというもの、毎年市販のもので済ませていたのに、やはり恋というのは恐ろしい。
明日は彼と同じ出番。
本当ならもう一度作り直したいところだが、明日も朝は早い。
布団に入り、目を瞑っても結局浮かぶのは彼の姿。
ああ、朝起きたら綺麗なハート型に戻っているなんてこと、ないだろうか。
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出番も一通り終わり、今だ、と鞄の中からチョコレートを取り出す。
合間の時間に必死に何度も結び直したリボン。
包装だけ無駄に凝ってしまったチョコレートを片手に、彼の元へ向かおうとした時、
「お疲れ様です！バレンタインなので、良かったらみなさんどうぞ！」
明るいスタッフさんの声と、香る甘い匂い。
一人ひとつずつ、あります、と微笑む彼女。
同性である私でさえも撃ち抜かれてしまいそうになる。
おしゃれな包装、1人ずつ、袋を留めるリボンの色さえ違う。
キラキラした袋の中には、更にキラキラしたチョコレートが顔を覗かせていて。
自分が作ったものと、どうしても比べてしまう。
見栄えも、包装も、全て綺麗で、きっと、味だって美味しい。
わらわらと集まっていく芸人たちの中に、彼の姿を見て、思わず手に持っていたチョコを背中に咄嗟に隠した。
ああ、やっぱり辞めておけばよかったな、
同業者に恋なんて、した私が馬鹿だったんだ、
「くるまさん、いつもお疲れ様です。美味しく食べてください!!」
『ありがとね、ほんと。これ手作りなんですか、女の子は凄いなあ』
眉を八の字にして申し訳なさそうに受け取る彼に、胸がギュンと詰まる。
そんなことで、と言われそうだけれど、私にとっては大勝負だった。
心のどこかで、“ワンチャン”を期待してしまっていた。
何を期待していたんだろう。
せっかく作ったこれも、恥ずかしくて仕方がない。
涙を堪えるあまり、手に力が籠りすぎてしまったみたいで、
ちいさな箱が、淡い期待といっしょに、くしゃりとつぶれた。
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作者名：佐伯 | 作成日時：2024年2月14日 21時
