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目を開けると、司会は黒く染まっていた。
それは私に語りかける。何かを語りかける。
?「____あなたはそれでいいの?」
ただそう語りかけるだけで、後は何も。
「......生きたいなどと、そう口にする権利はない。それぐらい分かっている。だが外に出してほしいんだ。せめてこの命を彼らのために使い、死にたいんだ。」
?「......そう。」
それは問うだけで、何も叶えず、ただ姿を消しただけ。
「カウレスっ...早く...早く助けてくれ...約束したじゃないか...」
意味もなく話していると、何もかもを投げ出したくなる。成功まで近付いていたというのに、ただ寝ぼけただけでこんなことになった。
「カウレス...カウレスッ!!!」
もう魔術師として限界を迎えてしまった私は、見捨てられるのだろうか。
カウレス「A!」
「......カウレス?」
カウレス「手をッ...手を握ってくれ...!」
「カウレス...ああ...ようやく、君の手を...」
カウレス「目を覚ませって!!!」
「......カウレス...」
カウレス「よかった...もう樹は伐採されたんだ。大丈夫だよ、A。もう怖い思いなんてすることはないんだ。」
私は...怖がっていた?
「何故私なんぞを助けた...」
カウレス「助けたいから助けた。それにお前、俺に何度も助けを求めてるだろ。」
「......この阿呆が。お前が死んだら、もう生きる意味さえ見失うというのに。」
カウレス「それと同じなんだよ。いっぱい泣けよ、バカ。いつまでも優等生を演じていたら、死にたくなるぐらい苦しいだろ。」
怖がっていたんだ。得たいの知れないものに取り込まれようとしていて、目覚めたら好きな人の腕の中にいて...今、とても安心している。
「ッ...クソッ...」
カウレス「泣いて。」
「強気になるなよ...クソが...」
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作者名:琲世 | 作成日時:2022年1月25日 0時