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交渉決裂。たった二人の敵だというのに、震えは未だに消えることを知らず。もう一度電話をかけようとしたが、携帯はもう機能しなくなっていた。
男に触れられ、こんなにも恐ろしいと感じたのは初めてだ。カウレスにこんなに会いたいと感じることなど、この先一生ないだろう。
「カウ...レス...」
アルジュナ「笑顔でいようよ。冬木のほとんどの人間は殺し終えたんだから、君と二人きりになれたようなものだ。」
「......笑顔でいてやるさ。お前なんぞに屈したら、私という人間は死を迎えてしまう。」
アルジュナ「死なせはしないよ。姫、早速だが式を挙げよう。僕は未来永劫、君の夫として生きることを誓う。共に世界を変える者として、君も永遠を生きることを誓うんだよ。」
不死を選べば、私はきっと父の願いを叶えられる。自分の死を恐れず、あの嫌いな男の前から姿を消すことだって、容易く叶うのだろう。だが、その嫌いな男に助けてほしいと願ったのは私だ。
「...そんなもの、誓いたくもない。」
アルジュナ「君なら誓うよ。さあ、俺の目を見て。」
「......」
アルジュナ「『アルジュナ様のために誠心誠意尽くします』、と。」
「......アルジュナ様のために、誠心誠意、」
アルジュナ「尽くします。」
願ったが...何も知らない人たちが殺された。父親が死んだ。友人も死んだ。こんなにも死を前にしたら、いつもの自信もなくしてしまうというもの。こんなところで抗ったって意味はないんじゃないか?
「尽くします、誓います。私を好きにしてください。」
アルジュナ「...それでいい。俺の考えた通りに動く、優秀な駒であってくれよ。」
「は、い」
ないのだから...負けても構わない。
アルジュナ「ッ!?」
「誓います。あなたの妻となり、この身を捧げることを誓います。」
カルナ「アルジュナ様!!!」
アルジュナ「...奥さんよ...旦那さんの首を絞めに来るのは...いかがなものかねぇ...」
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作者名:琲世 | 作成日時:2022年1月25日 0時