魔眼蒐集列車の行く場所 (ページ38)

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サンソン｢...この写真に写る娘さん、｣

懐かしい。

そう感じた僕の目からは、涙が溢れていた。

小鳥遊神秘｢ああ......俺の大切な娘だ。本当なら、娘の結婚を精一杯祝いたいんだ。カウレスは宣言通り、確かに娘を救ってくれた。魔術師なんぞを捨てさせると言ってくれた。親子で似た者同士、素直になれなくて喧嘩中だよ。｣

たった今恋をしたというより、ずっと前から...ずっと昔から恋をしている。記録も何も引き継がれない、この霊基に恋心のみが刻まれている。彼女の成長した姿も簡単に想像できるし、その表情も、しぐさも、全部分かる。

サンソン｢僕の...マスター...｣

小鳥遊神秘｢......英霊の座というものは、どれも並行世界に繋がってるものなのか......確かに、お前は我が娘と結婚しているな。だがどの世界線でも、お前は娘を死なせている。共に生き延びたとしても、娘の精神は崩壊を迎えた。｣

サンソン｢......｣

未来視の一種。マスターの言うことが本当なら、この恋心に間違いはないのだろう。

故に、僕は彼女に出会ってはならない。また彼女を死なせてしまったら、何も知らない彼女と出会ってしまったら...僕の邪なものが、彼女を殺してしまう。

サンソン｢娘さん、幸せになるといいですね。｣

小鳥遊神秘｢...そうだな。｣