魔眼蒐集列車の行く場所 (ページ35)

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私はまた唱える。あの日、何も分からないまま親に教えられた呪文を。

｢......｣

父がいる屋敷に訪問できなかった。カウレスとの結婚を反対するあの人と出会えば、私は本当に外に出ることが叶わなくなる。娘を愛するあまり、犯罪に手を染める父など見たくもない。

かつてカウレスと共に住んでいたマンションの一室で、私は息を整え、続きを唱える。

｢抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ。｣

その手紙いわく、英霊が拒絶すれば、例え聖遺物があろうと召喚は叶わないと書いてあった。だからこれはたった一度の勝負みたいなものだ。

固定詠唱のある話しづらいバーサーカーより、どうせならまだ見ぬ未知の世界へ。私は好奇心に惑わされ、今＿＿＿＿ここに立っている。

オベロン｢妖精王オベロン、プリテンダーのサーヴァントだ。僕を呼んでくれたのは君かい？現代の美しいお嬢さん......って、｣

｢ああ...私がマスターの小鳥遊Aだ。よろしく頼む、妖精王オベロン。｣

オベロン｢......ここでも君はそうなんだね、A。まあいいや。召喚されたからには、微力ながら君の力になってみせる。基本的には後方支援だから、あまり期待されても困っちゃうけどね。｣

妖精王オベロン、彼はどこか曇りのある表情を浮かべていた。

｢その虫は？｣

オベロン｢この子かい？ブランカって名前だよ。僕の大切な相棒さ。｣