終わりの刻 ページ25
｢......あのさ、みんな。｣
瓦礫を越え、奇妙な空に浮かぶ扉を閉じ、彼らに問う。
｢普通って面白い？｣
衛宮士郎｢面白いっつーか...遠坂はどう思う？｣
遠坂凛｢楽しいわよ。少なくとも、正義執行バカよりかは普通っていうのを分かってるわ。｣
衛宮士郎｢酷いことを言うな...｣
遠坂凛｢でも、少しはマシになったんじゃない？この厄災戦ってヤツで、アンタはもう一人のバカのために戦った。この街を守りたい以前の話で、Aがそう言うならって承諾して、すごいまともな理由で戦ったんだから。｣
衛宮士郎｢......｣
皆は普通を知ってる。私だけ何も知らない。
間桐慎二｢こっち来るのが怖いなら、一つだけ言ってやる。お前はもう普通の人間になってるよ。｣
｢...？｣
間桐慎二｢そうじゃなきゃ、友人とカラオケに行こうなんて発想にも至らないだろ。お前、知らないうちに、普通の女になれてたんだよ。｣
根源を目指さず、魔術師であるという立場を捨てたら、もっと遠くの景色を見つめていられるのか？
間桐桜｢私はとても楽しいと思います。皆のおかげで、私は前みたいに笑えるようになりました。姉さんと話すときも増えましたから。｣
沖田総司｢僕は戦いの最中ではあったけれど、子供と話す時間は楽しかったよ。｣
パリス｢親に捨てられた人生でしたけど、いい場所で育ったので...あの時間は、何よりも大切なものだったと思います。｣
太公望｢僕は妲己に惚れてしまった日を忘れないよ。敵だと承知していながら、普通に彼女を愛してしまった日を。｣
モルガン｢......あの場所での時間は、退屈しなかったな。｣
グレイ｢皆さんと一緒なら、拙は幸せ者です。｣
人それぞれの普通、人それぞれの過ごし方。
｢(アルトリアではなくなった私にとっての普通は...)｣
小鳥遊神秘｢そこに寝とけ、クソ野郎。｣
女神｢貴様ッ...！｣
小鳥遊神秘｢A！お前の魔術で封印を施せ！後の世で、成長したお前らが獣を殺せばいい！｣
魔術は好き。純粋に大好きです。
カウレス｢......俺は言わないから。はい、ノート。｣
｢私と過ごす時間が好きなんでしょ。ノート、いらない。｣
カウレス｢っ...｣
根源はもちろん目指す。
私は不器用だけど、彼らのように、家に縛られない子供たちのように。
｢......またいつか、二人でお話しましょう。｣
アルトリア・キャスターという女の子と出会ってくれた、ある魔術師さんのように。
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作者名：琲世 | 作成日時：2022年1月10日 18時
