. ページ22
ある晩、ある場所、ある人物を見つめる一人の女。
女は対象が無事だということを確認し、ようやく本日の監視の終わりを告げる。
あくまで本日、これからも監視は続く。
対象がそうであるが故に。もしそうではないように産まれていたなら、女も対象に見向きなどしなかった。
ただそうだったから、偶然なってしまったから。
女は今日も対象を見つめる。この冬木の街で、何をすべきか模索中の未熟者を嘲笑いながら。
「始まりの御三家は、この大聖杯というものを求めて殺し合いをしてるの。つまりはクソゲー、愚行、負の歴史、そんなことするぐらいなら研究でもすれば?などと言いたい放題できるクソ儀式。ここまではオッケー?」
遠坂凛「そんなことを思ってたのね...」
「大聖杯を何らかの方法で取り戻して、自分のために新しく大聖杯をどっかに放置した父親を見て、そう思わない子供がいると思う?まさに愚の骨頂だね!参加者が私たち四人って判明してる時点で、その愚の儀式も平和的に終わりそうだけど。」
衛宮士郎「......つまりはどうするんだ?」
「過去から現在、伝説上の英雄を使って相手を殺す。これが始まりの御三家の一つの間違い、聖杯戦争。はい、後は麻婆神父に説明を聞くことだね!久しぶりに愚痴が吐けてスッキリしましたー!」
衛宮士郎「お、おう...とりあえずバカだからこその悩みは分かったよ。」
カウレス「...衛宮、それは間違いだよ。確かにバカではあるけど、彼女には今まで学んだ魔術を記したノートがあるんだ。最短一分で一通り目にすることで、三日はすべての魔術を覚えていられるんだよ。逆に言えば、四日目以降は何も覚えてないけどね。だからこそ彼女は魔術師の世界で天才と呼ばれ、時計塔でも期待の生徒として注目されてるんだ。」
遠坂凛「そうねぇ。三日間の記憶力は良いわよ、三日間の記憶力は。」
「......愚痴を吐いてスッキリしたはずなのに、今すごく泣きそう。泣いていい?」
衛宮士郎「お、おう...とりあえず泣いておけ。」
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:琲世 | 作成日時:2022年1月5日 13時