わかって ページ44
そんなこんなで何事もなく撮影が行われる、はずなんだけれども…
「だーかーら、カメラマンの言うことが聞けねえのかって言ってるんだよ。」
「いきなり変更するって言われても困るんですよ。コンセプトを決めるのはこちらです。あなたにそんな権限ないでしょう。」
『あの…』
プレスルームにて。
火花が散ったのはミンギュとジュノではなく、テヨンとジュノだった。ジュノのセンスは買っている、けれどもいきなりコンセプトを変えようたって無理がある。
「これでAWコレクションだなんて…よく上も通したな。」
「おい!」
あ、テヨンがキレそう。
「A、お前はどっちの味方なんだよ。」
『味方も何も、この案は私も一緒に考えたの。それに今日は代役でしょ?そりゃあ、ジュノが作品を作る時はそれでも大丈夫なのかもしれないけど。私たちはまだしも、モデルの人やメイクさんにも迷惑かかっちゃう。』
幸い、この男を宥めるのには長けている。 正論を言えば一発。なんとか上手く丸めこんで撮影を行わなければ。
「…わかったよ。言う通り撮ればいいんだろ。」
よし…!
『お願いね。私先にスタジオ戻るから。』
そして早くあの場から逃げたくて、小走りでスタジオに向かう。もうここまで来れば引き止められることもないだろうという所で壁にもたれかかった。
『疲れた…。』
身内と仕事をしているのに、こんなにもやりずらいとは…いや、むしろ身内だからか。思ったこと包み隠さず必要もないってわけだ。
「Aさん!」
『ミンギュさん、どうしてここに?』
「どうしても何も、ここスタジオまでの通り道…良かったら一緒に行きましょう!」
『はい。』
そうしてスタジオに向かっている途中余程疲れて見えたのか、ミンギュがいきなり前に立ち塞がった。
「Aさん、疲れてる。」
『そんなことは…。』
「何かあったんですか?」
『何も無いですよ、本当に。疲れてるように見えたのは…今日あんまり化粧ノリも良くないからだと思います。』
「…?」
『本当ですってば!そんな険しい顔しないで下さいよ!すみません余計な心配をかけ
「余計じゃない。」
小さく呟いて遮ったミンギュにいきなり手を握られて、連れて来られたのはスタジオから離れた人影のない倉庫の前。
「Aヌナが大切なんだよ。わかって。」
そう言って、たどたどしく私を抱きしめた。
『わかったよ、ありがとう。』
その優しさに応えるように、そっと彼の背中に腕を回した。
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作者名:ニカ | 作成日時:2017年2月26日 12時