心理 ページ37
『テヨン。いきなりキスしてくる男って、一体どういう心理なの？』
「は？」
次の日はいつも通り仕事をして、その後テヨンと夜ご飯に行く約束をしていた。
昨日のことがまだ、到底理解出来ないもので同世代の男性である彼に話を聞いてみることにした。
「いや俺そんな経験ないからわかんねえわ。」
『そっか。』
「されたのか？」
『……いいや、私じゃなくて妹。』
「うわ〜ご愁傷さま。」
というのは嘘で、本当にされたのは私で間違いない。だけど本当のことを言えば「相手は誰だ」「いつ親しくなったんだ」ど問い詰められるだけだ。とりあえず妹を代役に立てることにした。
「ところでそれどついう状況なわけ？一歩間違えたら犯罪じゃん。」
『色々複雑なんだよ。妹には他に気になる人がいて、でもデートした相手にはその事が知られてて…諦めるからハグさせて欲しいって言われて了承したらキスされて、挙句の果てには反応見て楽しんで、本当に散々だったんだから！』
「"だった"？」
『だ、だったらしい！らしいよ！』
「なんか色々ありすぎて混乱するけど、そのデートしたヤツが諦めないのは確かだな。」
『え？』
テヨンは強くお肉の盛り合わせにフォークを立てた。
2つも3つも突き刺して、大きな口に運んでいく。
『私も肉…』
「ああ、ごめん。」
『テヨンはその人が諦めないと思うの？』
「キスなんてしたら未練しか残らないと思うけどな、まあ"俺なら"の話だけど。」
『そっか。そうなんだ。じゃあ、諦めてるって確率は？』
「…30、40%ぐらいじゃない？」
『そんなー。』
「なんだよ、まるで自分の事みたいに。」
自分の事だからだ。
そんなふうに言われてしまったらもう不安要素しか残らない。
「妹に気をつけてって言っときな。あ、もしかしてお前のことだったりして！」
『っ！』
思いがけぬ核心をつかれ、器官にワインが入り咳き込んだ。
「冗談で言ったつもりなんだけど…」
『心臓に悪いよ。』
「ごめん……パンツに少し垂れてる。水道行って拭いてくれば？」
『うん。』
「あのさ、A」
『なに？』
「…いいや、また今度話す。」
もどかしそうなテヨンに首をかしげ、わずかにパンツに零れたワインがシミにならないように、急いでお手洗いへと向かった。
「本当はお前なんだろ、相手は誰だよ、って聞けないよな…。」
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作者名：ニカ | 作成日時：2017年2月26日 12時
