午前0時、アメリカーノに (ページ30)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:84,082 hit

中途半端に(MG) ページ30

ヒョンの強気な態度に呆気を取られてしまっていた。
ああ、そうだ。そういえばヒョンはあの人と同い年で、人の懐に入るのが得意で、ずる賢いんだった。
きっと俺のことダシにして…

「"俺のことダシにしてAに近づいた"とか思ってるだろ。」

「うっ…」

「図星か、まあいいよ。何とでも言えば？電話を掛けてくれたのはあっちだし。それに俺たち今日会う約束してるんだ。」

「え！？なんで？」

「なんでーどうしてーって、悔しいって思うならとっとと彼女に謝れば？」

「はあ！？」

「まあ、お前がどうしようが知ったことじゃねえし。せいぜい頑張んな、俺に先越されたくないんだったら。」

それだけ言い残して案外早くリビングから立ち去ってしまった。

「今のはお前の負けだな。」

「くっ…。」

「お前って自尊心ないわけ？やられっぱなしで悔しくないの？」

「でも、実際どうしたらいいかわからないよ。」

「うーん…俺なら相手がヒョンでも全力で阻止するけどな。好きなんだろ？」

「好き…だと思う。」

「じゃあ何としてでも阻止しろよ。今更人がいいフリなんてしなくていいよ。でも本当に好きじゃないならやめろ。中途半端に恋愛沙汰なんて迷惑だ。」

「はーっ！なんかもう！好きの基準が！定義がわからないよ！」

「一緒にいたいなら好きってことだろ。Aさんといて楽しいんだろ？」

「うん。」

「というか、好きになる為に一々ちゃんとした理由を見つけなきゃいけないの？面倒くさくない？好きになったらもっと見つかると思うよ。」

「…うん。俺、ちょっと行ってくる。」

「え、どこに？」

「秘密。」

まさかミンハオに相談に乗ってもらう日が来るとは。
でもそのおかげで決心できた。
もう中途半端でいるのはやめよう。自分の気持ちを誤魔化して、"ヌナが誤解してくれれば"なんてご都合主義なこと言った自分が馬鹿だ。あの日のこと、ちゃんと謝ろう。

俺は、ヌナが好きだ。