当て付け ページ26
『もしもし。Aです。』
JH「…へ?」
遡ること50分前。
ミンギュを突き放して家に帰ると私はカバンを床に放り投げた。それからラーメンを食べた。全てはこのイライラを収めるためだ。挙句の果てにストックしておいたチキンも食べて、缶ビールも開けた。
それでもまだイライラは収まらない。
『ミンギュめ…』
どうにも収まらない。こうなったらお風呂に入って寝て忘れよう。
そう思って立ち上がった矢先、放り投げたカバンを蹴飛ばした。中から飛び出したポーチやら散乱した書類に混ざって、あの紙が出てきた。
ジョンハンさんの番号が書いてあるレシートだ。
そういえば、連絡はまだ1度もしていなかった。
…これだ!ジョンハンさんには悪いけれど、ミンギュへの当て付けにはもって来いだ。そして迷いなくジョンハンさんに電話を掛けた。
『もしもし。Aです。』
JH「…へ?」
そして、今に至る。
『ジョンハンさんの携帯で間違いないですか?』
JH「…はい。まさか本当にかけてくるとは。」
『連絡してほしいって言ってたじゃないですか。』
JH「言ったけど、どうして今……何してるんですか?」
『ビール飲んでます。』
JH「完璧酔った勢いじゃないですか。」
彼がどう捉えてようがなんでもいい。全てミンギュへの当て付けなんだから。
とは言うものの、ジョンハンさんは私とミンギュが会ったことは知らないのか。
『ジョンハンさんは?』
JH「リビングで寝てました。あ、誰か来るから移動しますね。」
引き戸を引く音が聞こえたから、きっとベランダに出たのだろう。
JH「あの、そろそろタメで話してもいいですか?なんか敬語だともどかしいというか…。」
『そうですね。あ、そういえばハニって呼びにくいです。』
JH「え」
『ハニよりジョンハンのほうが響きがいいです。だめですか?』
JH「いいや。」
『じゃあジョンハンで。改めてよろしく。』
JH「おう。」
最初の頃のぎこちなさがなくなると、案外接しやすかった。同い年だからかも。
JH「で、なんで掛けてきたの。」
『まだそれ聞く?』
JH「もちろん。」
『言ったら絶対電話切ると思う。』
JH「そこまで言われたら気になるじゃん。大丈夫、切らないよ。」
ジョンハンはそう言うから、ミンギュと会っていること、今日起きたことを正直に話すことにした。
ええい、もうどうにでもなれ。
『…ミンギュへの当て付け。』
JH「…はあ?」
454人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ニカ | 作成日時:2017年2月26日 12時