検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:84,072 hit

当て付け ページ26

『もしもし。Aです。』

JH「…へ?」



遡ること50分前。

ミンギュを突き放して家に帰ると私はカバンを床に放り投げた。それからラーメンを食べた。全てはこのイライラを収めるためだ。挙句の果てにストックしておいたチキンも食べて、缶ビールも開けた。
それでもまだイライラは収まらない。


『ミンギュめ…』


どうにも収まらない。こうなったらお風呂に入って寝て忘れよう。

そう思って立ち上がった矢先、放り投げたカバンを蹴飛ばした。中から飛び出したポーチやら散乱した書類に混ざって、あの紙が出てきた。
ジョンハンさんの番号が書いてあるレシートだ。

そういえば、連絡はまだ1度もしていなかった。

…これだ!ジョンハンさんには悪いけれど、ミンギュへの当て付けにはもって来いだ。そして迷いなくジョンハンさんに電話を掛けた。




『もしもし。Aです。』

JH「…へ?」

そして、今に至る。


『ジョンハンさんの携帯で間違いないですか?』

JH「…はい。まさか本当にかけてくるとは。」

『連絡してほしいって言ってたじゃないですか。』

JH「言ったけど、どうして今……何してるんですか?」

『ビール飲んでます。』

JH「完璧酔った勢いじゃないですか。」


彼がどう捉えてようがなんでもいい。全てミンギュへの当て付けなんだから。
とは言うものの、ジョンハンさんは私とミンギュが会ったことは知らないのか。


『ジョンハンさんは?』

JH「リビングで寝てました。あ、誰か来るから移動しますね。」


引き戸を引く音が聞こえたから、きっとベランダに出たのだろう。


JH「あの、そろそろタメで話してもいいですか?なんか敬語だともどかしいというか…。」

『そうですね。あ、そういえばハニって呼びにくいです。』

JH「え」

『ハニよりジョンハンのほうが響きがいいです。だめですか?』

JH「いいや。」

『じゃあジョンハンで。改めてよろしく。』

JH「おう。」


最初の頃のぎこちなさがなくなると、案外接しやすかった。同い年だからかも。


JH「で、なんで掛けてきたの。」

『まだそれ聞く?』

JH「もちろん。」

『言ったら絶対電話切ると思う。』

JH「そこまで言われたら気になるじゃん。大丈夫、切らないよ。」


ジョンハンはそう言うから、ミンギュと会っていること、今日起きたことを正直に話すことにした。
ええい、もうどうにでもなれ。


『…ミンギュへの当て付け。』

JH「…はあ?」

今から→←誤解すればいい



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (99 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
454人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ニカ | 作成日時:2017年2月26日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。