午前0時、アメリカーノに (ページ23)

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もうひとつのページ23

「いらっしゃいませ。こんばんは！」

『こんばんは。』

テヨンと呑みに行く気分じゃなかったのはミンギュとよく居合わせるこのカフェに来たかったからだ。

「今日もキャラメルラテで？あ、暑いのでアイスにしましょうか？」

『お願いします。』

ここに来ればミンギュに会えるかもしれない。特に何か起きたわけでもないけれど彼と話がしたかった。ただそれだけ。
でもまあ、今日も来る気配はない。当たり前か。有名人なのだから忙しいに決まってる。
新曲活動？はまだと言ってはいたものの、他にも仕事があるに違いない。

そう思って飲み物を持ってカフェから出た矢先、見覚えのある男の人とすれ違った。
ハッとして、互いに振り返った。

MG「Aヌナ？」

『…ミンギュ！』

MG「しっ！…久しぶり。」

『久しぶり。中入る？』

MG「俺も買ってくるよ。待ってて。」

そう言ってミンギュはカフェに入っていった。
実際会ってみると、なぜだか久しぶりに感じた。さほど日数は経っていないのに。さっきの言い方だと、ミンギュもそう思っていたのかな…。
それはそれで、ちょっと嬉しいな。

MG「お待たせ！じゃあ行こっか！」

『うん、行こ…ってどこに？』

MG「うーん。その辺？」

『ははっ、その辺ね。』

カフェ以外、私たち2人に行く宛なんてなかったのに。気のままに、夜の街へと歩き出していた。
ミンギュと一緒にいて、ドキドキしているからなのか、それとも5月末の気温の影響だからなのか。少し暑かった。
コーヒーを飲みながら人通りの少ない夜道を歩いている途中、あるものを見つけたミンギュが立ち止まった。

『どうしたの？』

MG「あれ、見える？」

指さした先には夜の公園に設置された大きなスクリーンとその前に集まるたくさんの人。そのまま地べたに座っていたり、シートを引いて寝そべったり、自由に映画を眺めている。
野外上映だ。

MG「ね、行こうよ。」

『でもバレたら…』

MG「うーん…あ、あそこ！」

広場の後ろにあるカフェの2階、お店自体は閉まっていて誰も入っていなかった。少し遠いけれど、大きなスクリーンを眺めるにはちょうどいい距離そうだ。

MG「着いてきて！」

『あ…』

ミンギュは私の手を引っ張って、建物へと歩き出した。よくよく考えたら、これが初めてのスキンシップ。こういうことは久しぶりだ。だから余計にドキドキする。
私はミンギュ勢いに流されるまま、彼の背中を見つめながらもうひとつの隠れ家へと入っていった。