リリィのいない部屋 (ページ2)

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百合の花がよく似合う彼女、Aさんは学年一の美少女だ

そのことから百合の花を英語にしたリリィと呼ばれている

そんな彼女は絶えず一目惚れをされ、異性との噂が流れるけど、それはもうこの学校では当たり前になっていた

福「はあ、また噂なってたわ」

Aちゃん、今度はまっさんと付き合ったんやって

ため息混じりにそういう私の幼なじみ、福本大晴

彼もリリィに一目惚れした一人だ

「まっさんって、正門くん？」

福「うん。クラスが一緒で隣の席になったんやって」

「へえ。正門くん今年は3組なんや」

2年に進級して、大晴のリリィへの片思いが1年経った

未だに何も進展もないし、大晴のことが好きな私は安心しきっていた

福「俺もなにか話せるきっかけがあったらなあ…」

「まあ、Aさんあんまり他の人と話さんしね」

福「そうやねん！でもそこも好き」

「………アホやろ」

ああ、好きな人の恋バナなんて聞きたくない

しかも、相手がリリィだなんて一生叶わない

この時の私は、高校生活はこうやって何事もなく過ぎて、いつかリリィへの思いを諦めた大晴とずっと一緒にいるのだと思っていた