748話 予想外の解決方法でした！！ ページ9
彼の言葉に今までの事を思い出せる限り振り返る。
確かに最初は言う必要が無いとか自分で何とかしないとって考えてた。だから考えるどころか、その“思考にすら行かなかった”。
でも、今は“言わなきゃいけない”、“伝えなきゃいけない”って考えられるようになっていた
『あ……ホント……だ』
｢今まで独りで頑張ってたんだ。急に全部相談できるなんざ思ってねぇよ。少しずつでいいんだから、な？｣
『っは、はい！』
｢ふふ、良い返事です。ではちゃんと報告して下さったAさんには、解決方法をお教えしましょう。それは──“旅行の日の様な楽しい日がまた来る”と思えばいいんです｣
何と簡単な解決方法なのだろうか
てっきり物理的な話かと思えば、精神論だった。予想外で簡単な答えに思わず『えぇ！？それだけですか！？』と半信半疑の声が上がってしまう。思った以上に声が出てしまったので恥ずかしくて両手で口を当てる私に、銃兎さんはクスリと笑みを零した後に星を見上げて説明を続けた
｢今の貴女は楽しかった非日常を失った事で気分が落ちています。ですがそれは一時的なモノ。我々と過ごす日常はつまらないですか？｣
『いえそんな事は絶対にないです！！』
｢それは良かった。
そう思って頂けるなら、時間経過で喪失感は無くなってきます。ではその喪失感が無くなっていく間どう過ごすのか。
例えばですが、貴女が我々から何かプレゼントとして美味しいお菓子を頂いたとしましょう。どんな気持ちですか？｣
『そりゃ気になって楽しみでルンルン気分ですっ。──って、あぁ！！』
銃兎さんの言葉に妄想をしてみた。
──前左馬刻さんが買ってくれたプリン。何気ない日にアレがキンキンに冷えている冷蔵庫で待ったいたら、スキップしながら開けに行くだろう。
そう考えた瞬間、言いたい事が分かり再び大声を上げた。あまりにも緩すぎる私の口。押さえる事を諦めた
｢ふっ、気付きましたか？
喪失感を上書きするように次の楽しみがあれば、そもそも感じないんですよ。これは個人差がありますが｣
｢だからあン時言っただろ？またドリームランドに行こうなって｣
｢次回行くドリームランドは今回と違った景色、アトラクション、それらが待っている。そう考えると楽しみにならないか？｣
『はい！』
｢まぁドリームランドじゃなくてもお前は“楽しみ”が沢山あるだろ？｣
ニィ、と笑う左馬刻さんに元気よく返事を返す
そうだ、私には楽しい事が沢山待ってる──
749話 沢山の楽しみ、自然と元気になります！→←747話 後の祭り効果……ですか？
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作者名：刹那 | 作成日時：2022年8月23日 15時
