759話 電話、それは君を──。 ページ21
ストーカーレベルのメモ、と言うのはイマイチ分からないけど、中身がとても気になったので私用のアルバムを開く。1ページ目には手書きで“1日目、フィールドアスレチック!!”と書かれアスレチックや忍者のキャラ等が描かれていた。右下に赤茶色と青緑色の髪のちびキャラが“サラリーマンの意地見せてやらァァッ!!”って叫んでるから、多分これ独歩さんだと思う
次を捲ればあの日が閉じ込められた写真が沢山貼られていた。私が初めて撮った富士山から始まり、アスレチックに挑戦する皆、クリアして私がメダルを送る瞬間、全てが鮮明に残されていた
その写真達の横では“Aちゃん初の撮影!!”とか、“余裕でクリアするりおちんヤベェ!!”とか見るだけで笑みが零れる工夫が散りばめられている
じっくり見るのは後にして何が皆と違うんだろうと捲ると、恐らく私がいなかった間皆が撮っていた写真とか、その時だから見せた穏やかな表情の皆とかそんな微笑ましい写真が多くあった
きっと私が左馬刻さんに首根っこ掴まれている写真とか、しわくちゃピ〇チュウとかは皆の方のアルバムにあるんだと思う
最後のページには1人ずつの写真で、横に担当した係が書いてあって“係の仕事お疲れ様!!一期一会の旅これにて完結!!”と締めくくられていた
『〜〜ッ!!凄いです!!』
「これ作ってる時チョー楽しかったんだよな〜。普段見せねぇ顔とかあったし?」
「振り返られるのもアルバム作りの醍醐味だよな。あっ、そうそう、結構な量だったから載せきれなかった写真もあるんだ。ちゃんとデータは残してるし、もし気になったらグループチャットで送るよ」
『了解しました!』
・
──暫く旅行の思い出を語り続け、互いの記憶に花を咲かせる。時間はあっという間に進み、太陽が沈み始めた。話はまだ尽きなかったけど、一二三さんと寂雷さんは仕事があるとの事なので、お開きにして野営地へと帰った
夜ご飯を食べ終えて、片付けをした後に2人で焚き火を前にしてアルバムを広げじっくり楽しむ
さっき見たとはいえ、いつ見ても楽しい気持ちになれるアルバムは凄い
『どれもこれもいい感じで写ってますね!』
「あぁ皆活き活きとしている。こうして残すのも悪くは無いな」
『はい!』
ピロロ♪
──突然、理鶯さんのスマホが鳴った。
「電話か?」
『左馬刻さんか銃兎さんですかね?』
この時間に珍しい電話は、私と“その人”との関係を大きく変える事をこの時は知る由もなかった
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作者名:刹那 | 作成日時:2022年8月23日 15時