ミルクティー ページ5
新side
資料と見つめあってはパソコンに打ち込み、一時間が過ぎた。お互いが一言も話さないから集中出来るし、また居心地が良い。
一緒にいてくれるだけで十分だと思った。
ふと、Aの方を見る。
自然と目が合った。
途端に時が止まった。
Aから視線が離せない。
全身が焼けるように熱かった。
新｢ちょっと出るね｣
いてもたってもいられず自販機まで歩いた。
お馴染みのミルクティー。それと、いつもは買わない無糖のコーヒーを見つめる。
Aのことを見てぼーっとしてしまうのは眠いからなのかもしれない。
新｢いつものは甘すぎるかな。｣
そう呟いて見慣れないボタンを2つ押した。
落ちてきた缶を手にして会議室へと戻る。
Aはまた辞書を熱心に見ていた。
新｢少しは休んだら？｣
A｢1単元は終わらせたいんです。｣
俺に目を向けることなく、彼女は答える。
真剣な横顔がとても綺麗だった。
新｢じゃあAさん頑張ってるからこれ、置いとくね。｣
さっき買ったばかりのミルクティーをAの前に出した。
A｢えっ！？いやダメですよ受け取れません！だってお金が、｣
新｢いいから気にしないで。間違って押しちゃっただけだから。それに甘いの苦手だし。｣
慌てる彼女に半ば無理やりミルクティーを押し付けたその時だった。
A｢嘘ですよね？だって新先生いっつもミルクティー飲んでるじゃないですか！
ちゃんと見てるんですからね！｣
何気なく言った｢ちゃんと見ている｣という言葉。
新｢暑かったからアイスコーヒー飲みたかったんだ。だからあげる。｣
その言葉で恥ずかしさと体の火照りを誤魔化した。
新｢ミルクティーより遥かに甘いな。｣
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作者名：甜 | 作成日時：2021年3月11日 12時
