文学教師 (ページ26)

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ドキドキするページ26

新side

連休中の部活はだるい。
なぜ休みなのに好きなことも出来ないのか。
Aにも会えないし。

不意に飛んできたボールを生徒にパスする。

もとい、したつもりだった。

((ガシュッッッ！！

綺麗な弧を描き、ボールはネットに吸い込まれる。
どうやら自分が思っている以上に俺はイライラしているらしい。
拍手をしたり口笛を吹いている生徒を見つめながら苦笑いした。

「「ありがとうございましたっ！！」」

部活もやっと終了。
これで校内に戻れる。

A居ないかな。

俺は先程までとは裏腹に気分が良くなっていた。
職員室までの階段を登りきってさらに上を見上げる。

少し戸惑いはしたものの、上がってみることにした。一段を進むごとに女子の笑い声が大きくなっていく。
用も無いので自分の持っていた生徒を懐かしんで来たということにしよう。

1年前の授業風景を思い出しながら教え子の話し声に耳を澄ませていた。

陽「誰が好きなんすか？((ニヤ」

玲「百田先生すか？笑笑」

バド部の生徒の声がよく響く。
玲花さんと陽真理さんだろう。
部顧問だった頃を思い出す。
会話が恋愛のことだから、やはり彼女達も女子高生なんだなと思った。
久しぶりに声でもかけようか。
F組まで近づいたその時

A「私は新先生が好きだから。」

不意に「新」「好き」という言葉が耳に入った。

しかもAの声で。

最近部活も忙しいし、徹夜ばかりだから幻聴でも聞こえているのだ。
そう思い込もうとしてもAの優しくて温かい声が俺を現実に戻す。

好きなところ、良いところ、最近あった出来事。

嬉しそうに話す声を聞くと夢じゃないのかもしれない。

意識すると酷く恥ずかしくて
でも嬉しかった。

彼女達が下校のチャイムと共に片付けを始めたので咄嗟に反対の階段をかけ降りる。
何事も無かったかのように2階に戻ると、すぐ3人が降りてきた。
はっきり言って今は話したくない。
さっきの会話を思い出したら顔が赤くなってしまう。
でも、

A「こんにちは。」

新「あっ、こんにちは、」

微かに声が上擦った。
Aは不思議そうな顔をしている。
こんなところ見られたくない。
結局目を逸らしてしまった。

急いで自分の席に座り、ため息をつく。

嬉しすぎてどうにかなってしまいそうだった。

新「こんな恋愛いつぶりだよ、/////」

自分だけが知ってしまった両片思いに。