学ぶ1時間より話す1分が欲しい ページ21
Aside
現在時刻2時53分。
生物の授業があと2分で始まるというところだ。
私がなぜ慌てないかと言うと、近くの階段を1つ上がった下級生のフロアに生物室があるから。
要するに階段を上ればすぐ着くということだ。
そんなわけでのんびり動いているといつの間にか1分が経過。
そろそろ行った方がいいだろう。
急いで階段を駆け上がる。
後輩がロッカーの物を取ろうと出てくるのが見えた。
新「こんにちは。」
A「ぅあっ!?、あ、こんにちはっ!」
綺麗に整理されたファイル。
授業内容が細かく書き込まれているノートパソコン。
そして私が受けていた古文、でなく現代文の教科書。
心做しかいつもより明るい新先生がそこにいた。
久しぶりに顔を見る。
ヘアスタイルがよく似合っていてかっこいい。
胸の高鳴りを隠して必死に言葉を繋げた。
A「なんか、前髪すごいですねっ!」
新「あー前髪。ちょっとねぇ、、」
そう言って邪魔と言わんばかりに前髪をいじる。
もしかして悪口だと思ったのだろうか。
そうだとしたら誤解をとかないと。
A「あっ、直さない方が良かったのに、、あ、そうですそれです!それかっこよくて羨ましいなぁ」
つい口を滑らせてかっこいいと言ってしまった。
即座に言葉を付け足すが、何故か出たのは「羨ましい」という言葉。
新「絶対馬鹿にしてるでしょ笑」
A「そんなことないですよー!」
授業始まりのチャイムが鳴る。
他愛もない1分だけの会話。
だが、私にとってはすごく大きな1分。
いつもは眠気に襲われる生物も、今日だけは集中できるような気がする。
向かいから聞こえる先生の声に耳を傾けながら、私は張り切って生物の教科書を開いた。
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作者名:甜 | 作成日時:2021年3月11日 12時