文学教師 (ページ16)

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ファイトページ16

Aside

まさか学年からも離れると思っていなかったから、完全に私の心は沈んでしまった。
これからももっとお話したいことがあるのに。

寂しさを隠すように勉強道具を急いで取り出す。
すると、ノートと共に手帳が鞄から落ちてしまった。ふと開かさったページのメモが目に入る。
それはつい先日新先生に頼んで書いてもらったものだった。

A｢先生が前に言ってた好きな曲、全部ここに書いといて貰えますか？｣

新｢曲ー？っじゃあはい。｣

A｢これ曲名ですか？ほんとに！『ファイト！』って単に応援してるだけじゃないですか笑｣

新｢来年も頑張ってってこと笑

じゃあ、またいつか会えたらね。｣

書いてもらった時の記憶が蘇った。

もしかして先生は、自分が担当を外れることを知っていて書いたのだろうか。
考えと謎が深まるばかりだが、実際にそうだったのかもしれない。

ボールペンで書かれた少し不格好な『ファイト』が、なんだか私を勇気づけようとしている。

｢またお話したいです｣って。
それだけ言えば良いんだよって。

背中を押されたものだから、

A｢新先生っ！｣

これは声をかけるしかない。

先生、これからも。