暗殺者と自己紹介 ページ10
『…そうか』
「…もっとびっくりするとか、泣き出すとか普通あるやろ！あんたが普通の女の子とは思ってないけどさぁ〜」
そんなこと言われても、私がここに連れてこられている時点で可能性の一つとしては合ったのだから仕方ないではないか。
殺したくないだけならあそこで軽く治療してほっておくほうが彼だって楽に決まってる。
連れてきたのにはなにか理由があるのだろうが、治療するために連れてこられたとは到底思えない。彼だって自分が暗殺者やってるなんてバレたくないに決まってるだろうし。
『ふむ。では君は私をどうしたいんだ？殺し合いをもう一度したいのか？正直あの時は偶然とアドレナリンのおかげで痛覚が麻痺されていた一種の奇跡のマリアージュだ』
「……まぁ、そうやな…俺も正直あんま考えずに連れてきてしまったからな…。もちろん跡はつけれんようにはしたけど…」
『？？？』
考えずに、ということは衝動的ということか？
まさか理由なくして連れてこられるとは思っていなかったので、これからどうすればいいかを考える材料が殆ど無い。
「ま！特に何も決めてないからこの家から出るとか、助け求めるとかそんなことせんとけば自由にしてればええで！！といってもその怪我じゃしばらく動けんと思うけどな！ま、一週間もすれば治るやろ！」
『……骨が折れてるから全治3週間はかかると思うぞ？』
「え？一週間で治らんの？」
『・・・』
今の私は残念な子を見るような引きつった顔をしているのだろう。
肋骨が折れているのだから、全治3〜4週間。早くても2週間。なのに1週間で治ると思っているらしい。つまりこいつは一週間で治るのだろう。
『はぁ、まぁいい。とりあえず私は治るまで安静にさせてもらうが本当にすることはないんだな？』
「いや〜、別に俺料理とかもできるし、言うて金はあるからな。今回のやってAのこと暗殺したって言っといたからたんまり稼げたし」
『・・・』
私のこと暗殺してないけどな。とか色々思うことはあるが、いちいちそれに突っ込んでいたらキリがないので無視をすることにした。
『…というか今更だが君は私の名前を知っているんだね』
「まぁ、依頼人に名前は聞いたからな」
『ちなみに君の名前は？君だと不憫だし、しばらくお世話になるだろうから聞いておきたいのだが』
「あ〜、俺は…まぁゾムって呼んでくれればええで。そっちが本当の名前みたいなもんやし」
『ではゾム。しばらくお世話になる』
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作者名：neko | 作成日時：2024年1月7日 19時
