【d!】物語は終結しました (ページ6)

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初めて彼女は否定されるページ6

そう言うと暗殺者は服からナイフをもう一本…
というか一瞬見えたけどナイフの仕込みがエゲツナイ……

『話聞いてたか？』

「もちろん聞いてたで！」

そんなキラキラした目で言うもんじゃないだろ。

暗殺者はいわゆる二刀流スタイル。
片や私の武器はナイフ一本。

つまり私がもう片方の武器を捌くためにすることと言えば、素手でどうにかするしかないわけだ。

『ッ、容赦ないな…』

「そう言いながら捌いてるあんたもあんたやろwww」

捌けてると言ってもギリギリだがなｯ。

まだ勘を取り戻せてな＿＿＿＿

あ…、れ……？

ぷちんっ、と集中の糸が途切れる音がした。

『ウ”ｯ……ガ、ハｯ……げほっ……げほっ……』

あ、やらかしたなと思った。

急に頭が真っ白になり、その隙に腹めがけて勢いよく蹴りが飛んできた。

蹴られた瞬間アバラは確実に何本か逝かれたし、思いっきり吹っ飛ばされて壁に勢いよく激突したから、多分背中の骨も軽くやってる。

咳をすれば血が出る。咳をするたびに今まで味わったことがない激痛が体を襲う。
多分動けばこれ以上の激痛が襲うことは明確。そもそも立ち上がれるかどうかすら怪しい。

「あちゃー、こりゃもう無理そうか。残念……」

遊ぶおもちゃがなくなって残念そうにする子供のような顔をした暗殺者は、私の目の前までトボトボと歩いてくる。

殺されるんだな、と当然のように思った。

ナイフは蹴られた衝撃で手放してしまった。体はボロボロ。
こうなっては抵抗する手段がない。おそらく絶望とはこのことを指すのだろう。

・・・あぁ、嫌だな。

なんとなく、こいつに負けたのが嫌だった。多分相手は本気じゃなかったのが悔しかった。

不思議だった。だって相手は殺し慣れてて戦闘ばかりの世界で生きてきたのだろう。
対して私はただの高校生。むしろ勝てたら私は化け物かなにかかもしれない。

なのに勝ちたいと思ったし、勝てないことに自分に対して腹立たしく感じる。

もし、この手に武器があれば、どれだけ体がボロボロになろうとも立ち向か……

＿＿え…

殺される直前だと言うのに恐怖はなく、むしろ頭がいつも以上に回るような、真っ白になるような奇妙な感覚がした。

きっと死んだほうがこの痛みから開放されるだろう。

なのに私はこいつと戦いたいと思った。

＿＿はじめて自分の本質(せってい)が否定された気がした。