【d!】物語は終結しました (ページ3)

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圧倒的被害者な少女…？ページ3

＿＿音を立てず、ダクトの中を移動する。

暗殺依頼を受けて数日ほど経ち、現在は深夜少し過ぎ。
学生、しかもお嬢様なら寝ている時間だろう。

天才ともてはやされても、殺すのが当たり前の世界で生きてきた俺の敵ではない。
というかむしろ、このターゲットを殺すために俺に依頼するとか恨みすぎやろ。
今まさに殺されそうになっている子に少し同情してしまうわ。

とはいえ仕事は仕事。
報酬もしっかりもらえるみたいやし、嬢ちゃんには残念やけど殺させてもらうとしますか。
まぁ、護衛とかもいないし退屈なのは残念やけど。

ターゲットの子の親は仕事が忙しいようでほとんど家に帰ってないみたいやし、兄の方は大学生で一人暮らし。つまり実質ターゲットの子は一人暮らしのようなもの。

暗殺依頼は結構受けてきたけど、ここまで楽なのははじめてやな…

そのまま彼女の寝室まで移動する。
ダクトから覗き込めば寝ているらしい。まぁ、こんな夜中やしな。

「(にしてもほんま綺麗な顔しとるな…)」

瞼が閉ざされているからか、長い睫毛が強調されているような気がもする。かわいい系というより美人系。大先生とかが好きそうな顔。

そんでもって優秀ならきっと良い人生を送ってたんやろうな。
まぁ、自然災害にあったみたいな感じで運がなかったのは残念やけど。

自分が今から殺すターゲットに少しばかり同情しつつ、それでも手が震えることはなく、少女の急所を狙う。

「(ま、来世はこんな理不尽に合わんことを望んどき)」

そのまま少女の急所をナイフで刺す＿＿＿＿＿＿

ぱちっ

朱色の瞳と翡翠の瞳が交わり＿＿＿

「あ」

目覚めたばかりのAは右手でベッドの端を持ち、そのまま引っ張る。
その勢いのまま、容赦なく暗殺者の鳩尾めがけて蹴り上げた。

暗殺者は蹴りはモロに入ったものの、不安定な体勢のまま投げナイフをAの首めがけて放つが、後ろ向きのまま彼女はヒラリとナイフを躱し、ナイフは標的を外れ壁に深く突き刺さった。

ここまでわずか1秒ほどの戦闘だが、そこに組み込まれた情報量は凄まじい。

どちらも体制を立て直しもう一度二人の目線が合う＿＿＿

『誰？』

なんとも場にあわない平坦とした声が妙に響いた。