5.「改めまして」 ページ5
-F-
先程の騒動がきっかけで店内にザワつきが残る中
頭から水をぶっかけられた人を放っておくのも
なんだか忍びなくて、そっと隣にいる北山に
ハンカチを差し出した。
F「これ、良かったらどうぞ。」
Ki「え、あ……すみませ………あ。
…この間の?」
F「すみません。見るつもりはなかったけど、
隣の席だったので、つい。」
Ki「…ダサいとこ、見られましたね。
めちゃくちゃ恥ずかしいです……。」
F「ダサいとは思わなかったですよ、俺は。
俺もきっとあの立場だったら同じこと言ってたし。
…とりあえず、これどうぞ。
濡れたままっていうのも、流石にね。」
そういうと、少しバツが悪そうにしていたけど
ハンカチを受け取って濡れた場所を拭いていた。
ただその行動を眺めていると、北山が口を開いた。
Ki「これ、洗って返しますね。」
F「いや、大丈夫ですよ。
俺が貸したくて貸したんだし。」
Ki「でも…。」
F「ほんと、いいですよ。大丈夫。」
Ki「……それじゃあ、お言葉に甘えて。」
あらかた濡れた箇所を拭き終わると
北山は俺の方に向き直った。
Ki「あの、ほんとありがとうございました。
………あの、めちゃくちゃ今更なんですけど、
何でここに?」
F「なんとなく、気まぐれで入ったんです。
家が近くで、散歩がてらに街を見てたら、
見慣れないカフェが出来てて。入ってみようって。」
Ki「ああ、なるほど…。」
F「あー…えっと、北山さん?は?何でここに?」
Ki「え?まって。なんで俺の名前知ってんの?」
F「先程の女性が北山くん、と呼んでいたので。
馴れ馴れしかったらごめんなさい。」
Ki「あ…そういうことね。
いや、そこは気にしてないから大丈夫。
さっきの子に誘われたから来たんだけど、
女の子に人気の店らしくて。
俺一人じゃ絶対来てない。」
F「誘われたから、来た、みたいな?」
Ki「そういうことに、なるのかな?
ここでずっと喋ってるのもなんだし、
良かったらどこか別の場所で話さない?」
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ちび(プロフ) - 藤北話 めっちゃ好きなんです、続き待ってます⚪︎ 話めっちゃ楽しかったです⚪︎ (2023年2月23日 13時) (レス) @page13 id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊月 | 作成日時:2021年12月12日 12時