1.ハンカチ(1) ページ1
-Ki-
街に溢れた恋人。
冬だからだろうか、手を繋いで寄り添って。
羨ましいと思う反面
「いつまで続くか」なんて意地の悪いことを考える。
周りにいるカップルたちを
ちらりと横目で見ながら歩いていると
不意に誰かと肩がぶつかった。
Ki「あっ…すみません。」
?「いえ、こちらこそ…。」
互いに会釈をして切り上げた時に
俺は足元にあるハンカチを拾った。
きっと今ぶつかった男のハンカチだろうか。
まだ近くにいるはずだと思って走って追いかける。
幸いそこまで離れたところにはいなかったから
直ぐに届けることが出来た。
ただ、やっぱり疲れるもんは疲れる。
この歳になって全力疾走なんてしないせいだろうか。
Ki「あの、これ…っ、落としもの…」
息を切らしながら落としたハンカチをその男に渡す。
そんな俺を見ながら男は
不思議そうな顔で尋ねて来た。
?「これ…わざわざ届けに?」
Ki「さっき、ぶつかった時、落としたみたいで。」
?「ハンカチだけだったし、
別に気にしなくて良かったのに…。
でも、ありがとうございます。」
そう言って柔らかい笑みを見せた男の顔を
改めて見ると、意外と整った顔立ちをしていた。
意外と、とは言ったものの、かなりの美形だった。
思わず見惚れていたが、男の質問で我に返った。
?「あの…何か?」
Ki「え、あ、いや!すみません。
…それじゃあ、俺はここで。」
?「はい。ありがとうございました。」
今度こそ会釈をして切り上げる。
きっとこの瞬間は運命だったんだ。
そう思えるのは、もう少し先のことだけど、
俺とこの男は近いうちに再会することになる。
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ちび(プロフ) - 藤北話 めっちゃ好きなんです、続き待ってます⚪︎ 話めっちゃ楽しかったです⚪︎ (2023年2月23日 13時) (レス) @page13 id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊月 | 作成日時:2021年12月12日 12時