【△】 ページ2
・
俺はまた、修行から逃げ出していた。
爺ちゃんには申し訳ないけれど、俺には無理なんだ。
あんなに稽古をしてくれても、俺は爺ちゃんの期待に答えられないよ。
沢山言い訳を並べながら森を駆ける。
疲れてきた頃に、丁度良く神社が見えてきた。
よし、あそこで休憩しよう。
「こんな所あったんだなぁ」
少し長く続く階段を登る。
木の葉の隙間から、暖かな日差しが階段の隅の苔を照らす。
今日、こんなに良い天気だったっけ。
_カラン_
ふと耳を澄ますと、心地のよい風の音と共に、今までに聞いたことの無い音が聞こえてきた。
「なんだ、この音」
神社に近付くにつれ、その音も段々大きくなってくる。
何だか、聞いていてふわふわするような、心地よくなるような、不思議な音だった。
その音に吸い寄せられるかのように歩を進め、石段を登りきる。
ふわり、と優しい風が頬を撫でた。
目の前の女の子が、ゆっくりと俺を振り返る。
___カラン___
彼女と目が合った。
胸の中に、あの音が大きく響き渡る。
「キミ、もしかして___」
俺を見て、大きく目を見張ったその子が口を開いた。
「私が見えるの?」
綺麗だと、思った。
彼女の丸い瞳が、俺を映し出している。
「見えるよ」
呆然とその場に立ち尽くす。
俺の口から、そんな言葉がポロリと零れ落ちた。
・
124人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し94249号(プロフ) - パスワード教えてくださいませんか? (2019年12月27日 17時) (レス) id: 8a59bf4e66 (このIDを非表示/違反報告)
名無し94249号(プロフ) - パスワード教えてくださいませんか? (2019年12月27日 17時) (レス) id: 8a59bf4e66 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 - 新作も見ました。とても良い作品でした! (2019年11月30日 18時) (レス) id: 345ee1e063 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 鬼の女の子とは...ねずこちゃんですね! (2019年11月24日 18時) (レス) id: eb6c59978d (このIDを非表示/違反報告)
ななつき(プロフ) - この話好き。消さないで欲しい。また新作楽しみにしてる (2019年11月16日 1時) (レス) id: 9b592ae29e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年11月5日 18時