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青や紫。緑と趣味の悪い光が
怪しく光る薄暗い部屋の中。
ｷｨｨｯと、金切り声を上げた扉に
椅子に鎮座する男が口を開いた。
「どうだった?昨日は簡単に脱出できた？」
「あぁ。お前が用意しといた通路で地下から、ちょちょいのちょいだ」
まるで、朝飯前だと言わんばかりの声色が耳に届く。
「それは、良かった」と、返せば
闇に中から溶けで出来たのは、煙草を食んだ男。
「で、例の“悪魔”はどうだった?」
「まぁ、面白かったぜ。“悪魔の足跡”は、見込みがある」
「そう。一応、第8特殊消防隊の事、少し調べておいたよ」
その言葉を受け、男は机の方へ1つしかない視線をやる。
が、乱雑に置かれた書類を前に
目を通す気が削がれる。
お行事よく並べられた、棚の薬品たちとは大違いだ。
男は煙草を1度吹かし、適当な書類に目を落とす。
「大隊長の桜備 秋樽。消防士時代に勲章を二度受章。そして、二度剥奪」
「………」
「剥奪の理由は、人命救助の優先」
「いいね。良くも悪くも、消防官の鑑じゃなねェか」
「この第8…、桜備の人柄と、人望の厚さで出来たと言ってもいいくらいだ。他の隊とは毛色が違う…。面白いよ」
「…そうか」
一通り、他の隊員の資料にも目を通して見るが
目新しいモノはなく、資料は一気に無価値な情報の束へと成り下がる。
ため息の代わりに、煙草を吹かそうと息を吸い込んだ時。
「ところで、ジョーカー」
「あぁ?」
「“妹さん”の事、少しは分かったの?」
視界の端で、白衣の男がニヤッと笑って見せる。
男は、手にあった資料をテーブルの上に投げ捨て
ソファーに腰を預ける。
使い古されたスプリングは、弱いながらも
確かに男の体重を跳ね返す。
「いいや。何も収穫はなしだ。そっちは?」
「こっちも、全然」
白衣の男は、手を上げ
「まさに、お手上げ」、と言わんばかりに下らないジェスチャーを見せた。
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作者名：たんぱく質 | 作成日時：2021年1月1日 23時
