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ところ変わって、ここは第8。
机を向かい合わせにして作られた島には火縄とマキ。
「2人は大丈夫でしょうか?」
「そう祈るしかない」
「でも、葵小隊長が相手をするかも知れないってことは…」
「言うな。お前も分かってるだろ」
「はい。懐かしいですね…」
「そうだな」
涙ぐむ2人。
しみじみと在りし日の
軍事時代の頃を思い出していた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
新門大隊長との組手。
苦戦を強いられる中、さっきのやり取りを思い出す。
芯のある声を反芻する。
「呼吸を整える…」
試してみるか
深く息を吸い込み、荒くなる呼吸を鎮める。
簡単な事だが、それが大きく戦況を変える。
新門大隊長の動きが、先より見える気がする。
さっきまで捕まっていた攻撃を、躱せる。
面白い様に自分の攻撃が通る。
完成したばかりの必殺技を使えば
今まで一番手ごたえがあった。
あまりの嬉しさで、葵小隊長の方を振り返るが、
結局蹴り飛ばされてしまう。
『気は、抜いちゃ駄目だよ』
と、蹴り飛ばされた先の小隊長に笑われてしまった。
腰を下ろした葵小隊長の顔が近づく。
こうして、この人の顔を見るのは初めてだ。
『今まで一番良い組合だったよ』
「うぅ。でも、結局負けました…」
『悔しい気持ちは分かるよ。
でも、今は出来た事を誇りなさい。
初めてで、あそこ迄出来るのは凄いよ』
灰の髪に、淡い藍の瞳。
整った目鼻立ちに、形のいい唇。
そして、短い前髪を梳いていく白い手。
今、綺麗な人だと知る。
そう気づいた途端、顔に熱が一気に集まるのが分かる。
情けない顔を、必死で両の手で隠す。
しかし、顔を覆った事で
耳の防御がお留守になる。
送られる賛辞の言葉が遠慮なく鼓膜を襲う。
「……小隊長、もう止めてください。
恥ずかしくて死にそうです…」
『どうして? 森羅君は頑張って、結果を出した。
だから褒めてるんだよ。君は凄いよ」
指の隙間から小隊長の事を盗み見る。
楽しそうに、それでいて慈愛に満ちた
笑みを浮かべている。
どことなく、母さんの笑顔と重なる。
マキさんの言葉を思い出す。
“葵さんには気を付けなさい”
初めは分からなかった。
しかし、今その言葉の本当の意味を知った。
はまっていけない沼にはまったのだ。
もっと、わかりやすく教えてくれてもと
森羅は先輩を恨むのであった。
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たんぱく質(プロフ) - なっちんさん» 長文になってしまい、大変申し訳ありません。以下が、この作品に設けた私なり定義です。なっちゃん様や他の読者様には、ご不便をお掛けしますが、なにとぞご容赦を頂ければと。 (2020年7月12日 8時) (
レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
たんぱく質(プロフ) - なっちんさん» 2つ目は、私個人の思い入れです。葵とは、太陽向かって成長する植物です。漢字自体も太陽と関わり深く、それで紅丸との関係性を表現しています。また、紺炉と紅丸の名前に色が含まれており、設定上紺と同系色の響きのある名前でイメージを統一する必要があったからです (2020年7月12日 8時) (レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
たんぱく質(プロフ) - なっちんさん» 1つ目は、物語の雰囲気を優先したからです。薄々とは感じて頂いていると思いますが、この3人の関係にはウェイトを置いていて書いております。その為、名前というキャラクター構成の要となる部分が不確定だと、物語を引き締められないと判断し、使用しない事にしたのです (2020年7月12日 8時) (レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
たんぱく質(プロフ) - なっちんさん» コメントありがとうございます。名前の変更はコレを書くと決めた時に、熟考を重ね、しないと決めたので、大変申し訳ないのですが致しかねます。長文になりますが、名前変更をしなかった理由は2つあります。 (2020年7月12日 8時) (レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
なっちん(プロフ) - 初めまして^^*お話とても好きです∩ω<`あの名前の変換はできないのでしょうか(;o;)?? (2020年7月12日 7時) (携帯から) (レス) id: 86e7fd8910 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たんぱく質 | 作成日時：2020年7月8日 21時
