【炎炎】第7の日常 弐

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日が暮れた廊下を進む紅丸。
むしゃくしゃする。
先ほどの葵と森羅達のやり取りを
思い出すだけでイライラする。
葵は子供が好きだ。
それでも、アレは…


「クソっ…‼」


2階の廊下の一番奥の部屋。
勢いよく、葵の部屋の襖を開ければ
ぎょっと、する葵。

足音で気づいたのだろう
今にも窓から逃げようとしている。
そうはさせるかと、炎を操作して窓を閉める。

そして、後ろ手で襖を閉め一歩。
また一歩と距離を詰める。


「さっきのは、どういうつもりだ?」

『いやぁ……なんと言いますか
不可抗力というか、私のミスというか…』

「じゃ、なんで逃げる?」

『それは、若がご立腹なので………』

「だったら、この後どうなるかも分かるよな?」


低い声を出して脅す。
気持ち伝えはしたが、好き合っている訳ではない2人。
しかし、好いた相手が気安く他人に
触れるのを見るのは誰だって面白くない。


例にもれず、紅丸もそうだ。


どうやったら、俺を見る?


どうすれば、そんな事しなくなる?


どうしたら、お前を…


一瞬物思いに耽っている隙をついて、
葵が横を抜けて行こうとする。


「おい、逃げようとすんな」


しかし、恋仲ではない紅丸には強制力はない。

捕まえようと伸ばした手は、虚しくも払われる。
捕まえたい紅丸と、捕まりたくない葵。
2人の攻防は次第に本気になる。

しかし、相手は最強の紅丸。
ものの数分で、葵を畳の上に組み敷く。
が、尚も自分の下で、それでも逃げようと藻掻く葵。


「暴れんな」

『じゃ、放してよ』

「断る」


なら抵抗は止めないと、浅葱が語る。
つい、押さえつける手に力が入る。


「たまには、俺の言う事聞け」


独り言のように吐いた言葉。


他の奴と話すな、俺の名前を呼べ

他の奴を見るな、俺だけを見ろ

何処へも行くな、俺の傍(ここ)に居ろ。


それができないのなら鎖に繋いで、
檻にでも入れてしまいたい。
重たい感情が沸いてくる。

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