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惰性を謳歌する葵は縁側で茶を嗜む。
今日は自分に仕事を振る、大隊長も中隊長もいない。
2人は大隊長会議に出るため、朝から留守だ。

素直じゃないな…

と、縁側で庭を眺めながら、昨晩のやり取りを思い出す。


「「葵」」


自分を呼ぶ声に振り返る。
そこにはヒカゲとヒナタが。
葵は湯呑を置きながら、どうしたのかと尋ねる。


「腹減った」

「何か食わせろ」


そう言われ時計を見やると、お昼を指そうとしていた。
ここで、自分も空腹であることに気づく。


『何か食べたいものとかある?』

「「ない」」

『即答…。本当に何もないの?ラーメンとかカツ丼とか』

「腹減りすぎて、何も考えられねぇ」

「葵に決めさせてやるから、早く何か食わせろ…」


なんとも斜め上からな方向から、ぐずり始める2人。
正直、今から何か作るのは面倒だ。
今日は3人しかしないし、贅沢しても罰は当たらないだろう。


『なら、通りの2本向こうに蕎麦屋ができたから、そこで良い?
あそこ、お稲荷さんが美味しいって評判良いから』


その発言に歓喜の声を上げる双子。
が、すぐさま顔を曇らせる。


「葵だけで行けるのか?」

「葵と出かけたら、ヒナたち本当に飢え死にしちまう」

『失礼だな。詰所の近くなら迷わず行けるわい』

「そう言って、この前帰って来れなかっただろう」

「しかも、若にこっぴどく怒られてる時の葵、梅干しみたいにシワシワだったぞ」

『えぇ…。そんなことないよ』

「いや、ゲロブサだった」

「うん。あれは酷かった」

『ムッ。そんな事いう子には、お仕置きだぞ〜』


と、葵は2人に覆いかぶさり、くすぐり始めた。
そして、キャッキャと転げまわる双子。
ヒカヒナが止めることを事を懇願するまで
一通り笑かし倒してから解放してやった。


『まぁ、安心しなさい』


と、息をぜーぜーさせるヒカヒナから離れ
庭の方を向き1つ指を鳴らす。
その時、一陣の風が起き、庭の砂を巻き上げる。
ヒカヒナは砂塵から逃げるように、葵の後ろに隠れ目を瞑る。


『もう目を開けていいよ』


その声に、葵の後ろから顔を覗かせる双子。
庭には狼の形どった炎が2つ。


「「なんだこれ!?」」

『私の新しい技。壬生狼よ』

「「触ってもいいか?」」

『良いけど、あまり刺激を与えないでね』


葵の元を飛び出し庭に駆け降りる2人。
葵は2人が触っても火傷しないよう、熱を操作する。
炎は初めての人の手に戸惑うが、
双子に撫でられ、気持ちよさそうに目を細めた。

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たんぱく質(プロフ) - なーちゃんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるだけで、励みになります。できるだけ早くお届けできるよう頑張っていきます。 (2020年6月3日 21時) (レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
なーちゃん - 紅丸大隊長、大好きなんです!書いてくれてありがとうございます!続き待ってます! (2020年6月2日 8時) (レス) id: 7840b2b58c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たんぱく質 | 作成日時:2020年5月24日 19時

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