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しばらくの沈黙の後、徐に紺炉の口を開く。
「若。言いたいことがあるんだったら、ちゃんと言葉にしてください」
「何だよ、急に」
「ちゃんと言葉にしないと何も伝わらないって事ですよ」
「何言ってんだ?」
突拍子のない事で、頭が置いて行かれる。
「葵ですよ。他に誰が居るって言うんですか。若が口下手で不器用な事はわかってます」
「おい」
「だた話すだけで良いんです。思ってる事を、感じた事を。つ
いでに、好きって伝えて…」
「おい‼」
「痛い、若!そんな叩かないでください」
「うるせぇ。お前が変な事言うからだ」
「でも、実際気にしてるのは事実でしょ?」
「ｳｯ。そうかもしれねぇけど……」
「やけに、素直ですね」
ニヤついた軽口に、もう1度背中を殴ってやる。
「アイツとは、そんなじゃねぇんだ………」
紅丸は視線を落とした。
親愛、感傷、執着、憎悪
憧憬、恋慕、嫉妬、哀愁
その全部で、そのどれでもない感情
あの頃の様に、隣に居れるように
あの時、掴めなかった手を掴んで離さないように
簡単な事のに上手く言い表せそうもなく
口を継ぐんで押し黙る。
紺炉は、そんな紅丸をみて肩を竦めた。
「それだけアイツの事想ってるんなら、尚更話し合ってください」
「…………俺が話したところで、アイツを」
「若。アンタも葵も、もうガキうじゃねぇ。
傷つけない方法くらい、分かるだろ?」
「でも……」
「紅」
兄妹して、真っ直ぐ揺るがない眼で
見てくるので居た堪れなくなる。
深い青から逃げるように、声を振り絞る。
「…わかったよ」
「それでこそだ。まぁ、若のペースでいいんで」
「あぁ」
「決心付いたらしっかりと話し合って下さい。
でも、決心つかなかったとか言って先延ばしにするのは止めてくださいね」
「分かってるって。しつけぇぞ」
いつもの紺炉の小言が始まりそうなので
立ち上がって部屋をでようとする。
あっ、と声をあげる紺炉。
「今度はなんだ?」
「上手くいかなっかとしても、殴り合いの喧嘩だけは止めてくださいね」
「しねぇよ」
「いや、若の事だからいつもの短気起こしそうなんで」
「しねぇって」
「本当にしないでくださいね」
「わかったって。まぁ、アイツが喧嘩売ってきたら、買うがな」
「それをするなって言ってんだ‼」
紺炉の小言モードから説教モードに切り替わる
鬼の形相になる紺炉から、そそくさと退散した。
廊下を行く足取りが、少し軽い気がした。
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たんぱく質(プロフ) - なーちゃんさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるだけで、励みになります。できるだけ早くお届けできるよう頑張っていきます。 (2020年6月3日 21時) (
レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
なーちゃん - 紅丸大隊長、大好きなんです！書いてくれてありがとうございます！続き待ってます！ (2020年6月2日 8時) (レス) id: 7840b2b58c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たんぱく質 | 作成日時：2020年5月24日 19時
